この呼吸数の増加が、牛にとっては非常に厄介な問題を引き起こします。
具体的には
① 水分の喪失
私たちも口呼吸をしていると、すぐに口の中や喉が渇いてしまいますよね。それだけ、口呼吸は水分をより多く失うことになるといえます。暑いときは開口呼吸をする個体はどうしても増えてしまうので、人間と同じように十分な水が飲める環境は整えておくべきでしょう。とくに、水槽が汚れていないかは重要なポイントです。あまりにも汚れている水であれば、牛も飲みたくありません。夏は水を十分飲んでもらうために、水槽の掃除を頻繁に行ってあげてください。
② 電解質の喪失やアシドーシスの誘発
牛の唾液には多くの電解質が含まれています。通常は口の中に分泌された唾液のほとんどは嚥下によって再び消化管内に戻り吸収されていきますので、“プラスマイナスゼロ”の状態が維持されます。しかし、暑さによって呼吸数が上がっていると、飲み込み回数も減り、再吸収量がどんどん減ってしまいます。結果としてマイナス(電解質の喪失)につながってしまうのです。また、呼吸に時間を割かれるため、その分反芻時間が減ることも唾液分泌量そのものが減る原因となっています。特に唾液にはアルカリ成分である重炭酸がふくまれており、それがルーメンに戻ることでルーメン内の酸を中和しアシドーシスを予防してくれるという重要な役割があります。アシドーシスに陥れば、第一胃粘膜が傷むだけでなく、エンドトキシンの流入による各臓器の損傷にもつながります。牛にとって唾液はそれほど重要なものなのです。