2026年3月26日 *********************************************************** ところで、皆さんは「分娩が成功だったかどうか」を評価したことはあるでしょうか。また、「分娩の成功」とは一体何をさすのでしょうか。もちろん、子牛が生きてでてきたら成功といえます。ただ、それだけでは不十分な気がします。確かに、子牛が出た瞬間に分娩は終わるのですが、大切なのはその後かもしれません。 例えば子牛。生きて生まれてきても、胸部圧迫や肋骨骨折などでその後死んでしまうことがあります。このような場合は、分娩過程で解決すべき大きな課題があったことになります。たとえ死ぬことはなくとも、初乳の摂取時間の遅延、吸収量の低下があれば、のちのちの免疫力や発育度合に影響が出てくる可能性があります。さらに、臍帯周囲疾患が頻繁に起こるようであれば分娩環境にも問題があるといえるでしょう。また、母牛においては無理な牽引が産道の損傷や骨盤周囲の神経損傷につながる可能性があります。最悪のケースでは骨盤骨折や不可逆的な神経障害による起立不能が起こります。産道損傷の度合いが大きければ、その後の授精や移植成績の悪化につながります。 子牛が生きて生まれ出て、初乳は適切なタイミングで適切な量を飲むことができ、その後の発育に何ら問題がなくスクスク育っている。そして分娩による母体へのダメージは最小限に抑えられ、産後速やかに子牛の世話をできるような状態になった(もしくは産後から食欲や活力に問題がない)。初回発情の発現も良好で、授精もしくは移植は適切な時期に行うことができた。さすがにここまできたら完全に分娩は「成功だった!」といえるのだと思います。これは・・・なかなかハードルが高いですね。 分娩の進行状況は1頭ずつ異なり、ひとつとして同じお産はありません。そのため、上記のような「成功」をすべての牛で実現させることは非常に困難を極めます。それでも分娩は結果がすべて。それは非常に厳しいことなのですが、成功と言える分娩をできるだけ増やしていくためにも、評価項目を設定してその分娩が成功だったのかどうかを振り返ることは必ず次の分娩へとつながります。分娩は生まれ出る瞬間に意識が集中しがちなのですが、その後の状況にも目をむけてみると新しい気づきがあるかもしれません。
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