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加地永理奈のコラム
犬座りも銅欠乏の症状

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2026年3月25日

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以前「新刊を読んで銅欠乏症の発見に至った例」というコラムを書きましたが、こちらの農場で銅欠乏症と診断された母牛には、他にも共通した症状が見られていました。

それは後躯の運動失調です。
銅欠乏症の徴候として、運動直後に平行感覚が乱れ、転倒したり犬座りの姿勢になったりすることがあります。


犬座り姿勢を示した母牛


転倒した妊娠牛

銅欠乏がなぜ神経症状を引き起こすのか。
神経細胞は、その周りをミエリン鞘(髄鞘)という脂質の膜が包み込んでいて、神経伝達のスピードを上げる役割を担っています。
そのミエリンを形成するのに、銅を主体とする酵素の働きが必要です。
銅が欠乏すると、この酵素が働かなくなり、ミエリンが破壊された脱髄という状態になってしまいます。
そうなると神経伝達がうまくいかなくなり、末端の手足の方から障害があらわれてきます。

MSDマニュアル家庭版」より引用

ヒトでも、亜鉛を多く含む牡蠣の食べ過ぎから亜鉛の過剰摂取となり、過剰な亜鉛が銅の吸収を阻害して銅欠乏症を引き起こし、神経症状があらわれたという例があるそうです。

座り込む母牛が何頭かいたり、転倒して起き上がれなかったりした場合にも、銅欠乏症があるかもと疑ってみてください。
銅欠乏だけでなく、ビタミンB欠乏や低カルシウム血症などでも同様の症状がみられるので、獣医師に相談の上、血液検査を実施するようにしてみてください。

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