(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
松本大策のコラム
「ヌカカって知ってる?」

コラム一覧に戻る

2008年8月18日


 みなさん、「ヌカカ」ってご存知ですか?僕の住む地方では「小バエ」などとも呼ばれています。牛小屋の床一面が、真っ黒に見えるくらいびっしりと小さいハエみたいなヤツが留まってて、追い払うとブァーッと飛び立つ、アレですよ。
 たいして害はないからいいんじゃないの?と思われるかも知れませんが、こいつがなかなかどうして悪いヤツなんですよ。こいつらの吸血行動によって、いろんな病気が媒介され流行が広がるのです。
 牛では、夏から秋にかけて流産や呼吸器病を伴うアカバネ病、 イバラキ病、アイノウイルス感染症、牛流行熱が有名ですが、最近では、地球温暖化の影響などでヌカカの活動が活発化して、熱帯や亜熱帯地方のウイルス病だったピートンウイルス、サシュペリウイルス、ディアギュラウイルス、シャモンダウイルスなどによる流産が我が国でも見られるようになってきました。
 アカバネ病やチュウザンウイルスなどの以前からあった病気にはワクチンもありますが、新しい未知の感染症を防ぐには、ヌカカのような給血昆虫の駆除も大切な対策なのです。殺虫剤も使いづらい世の中になってきましたが、「食の安全」以前に「生活の安全」を脅かす「脅威」への対応レベルが低下しては大きな問題ですよね。
|