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松本大策のコラム
「夏場の管理(3)」

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2008年8月11日


 それから一般的な夏場対策としては、まず環境対策として、畜舎の温度を下げること。直下型もしくはななめ45°のファンの普及でずいぶん熱射病が減りました。ただし、夜にきちんと牛さんの身体が冷えるように、換気扇を夜も点けておくこと。電気代がもったいないと言って、夜は換気扇を消す方がいらっしゃいますが、牛さんは夜に身体を冷やせば熱射病になりにくいのです。
 屋根にスプリンクラーを付けるのも効果がありますが、廃水処理の問題がうるさくなっています。細霧装置なら使用する水も少なく、効果的に畜舎温度を下げられます。
 屋根材がスレートなら、真っ白に塗るだけでも太陽光を反射して畜舎内温度が2〜4℃くらい下がります。ペンキだと高くつきますが、水300リットルにクレフノンという細かい石灰を15kg、木工ボンド1.5kg混ぜたものを動力噴霧器で吹き付けるとペンキと同じような効果で2〜3年は保ちます。
 次に牛さんの体の中からの対策として、粗飼料や濃厚飼料の品質と給与量・給与時間を安定させる、生菌剤などで第一胃の発酵を安定させる(人間の体温は、おもに肝臓と足の筋肉で作られますが、牛さんの体温発生源は圧倒的に第一胃の発酵熱が多いのです。異常発酵になると発生する熱が多くなります)などが挙げられます。
 また、暑熱に対する抵抗力を付けておくという事も重要です。コスト対効果では、夏場前にエムリングを20g程度10日間与えるのも効果的です。それから、特に夏場の食い込みが落ちやすい農場ではビタミンEとパンカルG散を3日ほど与えるだけでも効果は大きいです。10%のビタミンE粉末剤なら10〜20g、パンカルG散は100g程度でかまいません。Pe−1という添加剤もパンカルG散と同じ働きです。値段は少し安いです。こういった薬剤は、肝臓を始めとする各臓器の細胞を活性化させ夏バテ防止を図ってくれるのです。出来るだけ早めに対策を打ちましょう(←って、梅雨時に書けば良かったですね。遅くなってごめんなさい。)。
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