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第513話「病気を減らすためにできること⑩」 |
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2025年11月13日
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親付けか人工哺乳か
繁殖管理を行っている農場においてはこの2択のどちらをとるかは非常に悩ましいテーマだと思います。生まれた子牛を親と一緒にする親付け管理では、子育ての手間が思いっきり省けるという最大のメリットがあります。ただ、哺乳期は母子がずっと部屋を使い続けるため部屋を多く確保しなければいけません。人工哺育管理ではハッチ数を確保する必要があり、人間側の作業負担は大きくなりますが、母牛の発情回帰が速くなるメリットがあります。また、子牛の体調不良に気づきやすいことも人工哺育のメリットでしょう。
疾病予防の観点で考えると、親付け管理に軍配があがります。その理由を考えてみましょう。
①安心感
「親といっしょ」という環境は、子どもにとって大切なものです。一匹でいるのではなく、大人が近くにいることは精神面で良い影響があります。母牛が子牛を舐めてくれる、子牛が走り回って遊ぶ、などの行動は子牛のストレスを減らす(=免疫力が弱りにくい)ひとつの要因になってくれます。
②欲しい時にミルク
人工哺育管理では、ミルクを飲める時間が人間の都合によって決まっています。そのため空腹に任せて勢いよく飲乳する様子が見られます。母子同居の場合はお腹がすいたらそこにミルク(乳房)があるので、いつでも安心。好きなときミルクを飲むことができます。乳房からは少しずつミルクが出ますので、子牛の体に負担もかかりにくいです。診療所管内の親付け管理されている子牛は非常に発育がよく、病気も少ないですし、肺炎になったとしても治癒率が高いことからも子牛の状態がよいことを実感しています。
③飼料に興味がわく
親付けの場合、親が食べている餌に子牛はとても興味深々です。親の食べる様子をまねて粗飼料を早くから食べる子牛は多いです。スターターを食べてくれない子牛でも、親の飼料を食べることがあります。「親が食べる様子」を目にすることでミルク以外の飼料を食べ始める機会が早まる可能性があります。柵などを利用して母牛が入ることのない「子牛だけの飲食スペース」を設けることで、母子管理においても子牛の採食量を確認することはできますのでトライしてみてください。
子牛にとってメリットが多そうな母子同居管理ですが、それがアダとなるケースももちろん存在します。次回はそれをテーマにコラムを書いていきます
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今週の動画
よく効きます😄
今回は診療でひどい疥癬症の牛さんがいたので硫黄製剤を塗布して変化を観察してみました。
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