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子牛の冬場の尿石症 |
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2025年11月10日
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那須塩原も朝夕はジャンパーが欲しいくらい寒くなってきました。
寒くなってきた頃から4-5ヶ月齢の子牛て陰毛白色化が見られる農場は多いと思います。
原因はタンパクとカロリーのバランスの問題だと思います。
通常、飼料の設計ではスリーシーズンで飼料のタンパクとカロリーのバランスが取れるように作ります。
簡単にいうと、五つのタンパク質を身に付けるために、五つのカロリーが必要です(あくまでバランスの例えですよ)。
ところが、気温が下がってくると体温維持のために余分なカロリーが必要になってきます。気温が15℃の時と比べて、気温0℃の時は、牛さんは約20%もカロリーが余分に必要となります。
すると、通常のエサで5:5でバランスを取ってあっても、20%のカロリーは体温維持に使われてしまうため、4:5となり、1/5のタンパクは、せっかく摂取し吸収されているにも関わらず身に付かないため、老廃物のアンモニアとして尿排泄されます。
すると、尿pHが上昇してマグネシウムとリンが結合してリン酸アンモニウムマグネシウムという塊を作るのです。これが尿石症です。
夏から与えていたとすると、本来のエサが少しタンパクとカロリーのバランスとしては、タンパクが高い設計だと思われます。
冬場はサンニードを増やすか中厚圧片トウモロコシを添加して陰毛と毛並み(おそらく今は陰毛白色が見られる子牛では毛並みも荒くなっているはずです)が改善する量まで増やして見るのがよいと思われます。
もうひとつは、ビタミンAの不足です。夏の疲れが出るのが10月くらいなので、ビタミンの消耗が一番激しく、このころ不足してしまいます。
ビタミンAが不足すると、吸収したタンパクを身に付けるための「蛋白同化ホルモン」の分泌が低下するため、タンパクが身に付かない部分が増え、老廃物のアンモニアの尿排泄が増え、後は同じです。
対策として、まずビタミンAを100万単位前後投与し、毛並みが変わらないならカロリーを増やしていく、というのがよいと考えます。

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今週の動画
よく効きます😄
今回は診療でひどい疥癬症の牛さんがいたので硫黄製剤を塗布して変化を観察してみました。
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