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松本大策のコラム
脱水ではない目の陥凹

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2025年11月17日

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 先週は、沖縄の本部町にコンサルに行きましたが、那須塩原は最低気温3℃くらいなのに、那覇空港で30℃!日本も広いものです。出張の装備にいつも迷います。今回も帰り道、那覇空港から半袖で帰ってきて、那須塩原駅についてからガタガタ震えながら、旅行鞄から上着を出して着込みました。

 ところで、以前もお話ししましたが、目が落ちくぼんでいると聞くと、まずは脱水を疑います。しかし、目がくぼんでいるからといって、すべて脱水というわけではありません。脱水の確認には、必ず皮膚をつまんで戻り具合を見るテントテスト(ツルゴールテスト)を併用しなければなりません。つまんだ皮膚がすぐに(2秒程度で)元に戻らない場合は脱水があると判断できます(写真1)。


 写真1:テントテスト

 もしも目がくぼんでいても、テントテストが正常であれば、他にいくつかの状態を疑う必要があります。まずは、疝痛(お腹の傷みが激しい)場合です。この時も眼球は引っ張られて落ちくぼんで見えます。目玉を動かす筋肉は、眼球の上下左右に4か所(本当はほかにも2か所あるのですがややこしいので簡単に4か所と書きます(図1))ついていて、この筋肉が右側だけ収縮したら、目玉は右を向くようになっています。しかし、ショックの時などは、4か所とも筋肉が収縮(緊張)するため、目が奥に引っ込んでしまうのです。(写真2)
 キシラジン(セラクタール)で麻酔をかけた時にも同じような目の陥凹が見られます。


 図1:眼を動かす筋肉 視力ケアセンターのHPから


 写真2:疝痛による眼球の陥凹

 もう一つ、こちらは生後19か月齢以降の牛では注意しておく必要があるのですが、眼球は、頭蓋骨の中の「眼窩」というくぼみの中に納まっています。そして眼窩と眼球の間には脂肪がついていていわば眼球を少し押し出したような状態になっているのです。ところが、脂肪壊死症になると、この眼窩内の脂肪が委縮するため、目が落ちくぼんで見えます。19か月低以降の肥育牛や、分娩前後の繁殖牛では、眼球が落ちくぼんでいるかな?と感じたら、必ず直腸検査をしてみましょうね。
 
 
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今週の動画
尿膜管遺残を検査

尿膜管遺残の子牛を診察しました。

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