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橋本匠護のコラム
胸囲充足率を計算するアプリの使い方

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2025年10月31日

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今回は前回のコラムで少し紹介した、「胸囲充足率を計算するアプリ」の具体的な使い方についてです。(胸囲充足率に関しては前回のコラムで少し紹介していますので、そちらをご覧ください。)

手順を追って説明します。

1. ウェブアプリを開く
まずは下のURLリンク、もしくはQRコードからウェブアプリを開きます。


https://kyoizyusokuristu.netlify.app/

2. ウェブアプリをスマホのホーム画面に追加する
この作業は必須ではありませんが、スマホで使用する際は便利なのでオススメです。まずはAndroid(アンドロイド)とiPhoneで画面が異なるため、それぞれ説明します。

【Androidの場合】
1の手順でウェブアプリを開くと、以下のような画面が出てきます。この画面の中の赤丸の部分を選択すると、メニューが開きます。その後、「ホーム画面に追加」「インストール」の順番に選択すると、スマホのホーム画面に追加することができます。

【iPhone】
1の手順でウェブアプリを開くと、以下のような画面が出てきます。この画面の中の赤丸の部分を選択すると、メニューが開きます。その後、「共有」「ホーム画面に追加」「追加」の順番に選択すると、ホーム画面に追加することが出来ます。

ホーム画面に追加すると、以下のような感じになります。すぐに使うことが出来るため非常に便利ですが、追加しなくても使用はできます。

3. 子牛の胸囲を測定する
ではスマホ(もしくはパソコン)と一緒に農場に行き、子牛の胸囲を測定します。今のところ、ウェブアプリに使っている標準胸囲は黒毛和種のものになりますので、そこはご注意ください。

測定に使うメジャーは何でも良いです。私は裁縫用の100円くらいのメジャーを使っています。

胸囲の測定方法は全国和牛登録協会の方法を参考に行います。具体的には子牛を正姿勢にし、肩甲骨後縁の指二本分後ろの位置でメジャーを巻きます。メジャーは最初にやや強く締め、その後緩め、その中間の目盛りを確認します。


↑位置的にはこのあたりです

測定時の子牛の姿勢は大事です。首を曲げたり、頭を下げたりすると数値がズレてしまうためです。

4. ウェブアプリに情報を入力する
いよいよアプリに情報を入力していきます。必要な情報は、個体ID、(胸囲)測定日、生年月日、性別、胸囲になります。個体IDは牛が分かれば、名号でも農場耳標でも何でも大丈夫です。すべて入力すると、下の方に「胸囲充足率」「標準胸囲」「推定体重」が表示されます。

この結果を記録したい場合は、保存を選択します。保存すると、画面下の記録一覧に記録されます。

さらに2頭以上を同様に測定、入力、保存を行うとグラフ(散布図)が表示されるようになっています。測定した牛の平均胸囲充足率、近似直線の傾きも表示されます。

5. 牛群の発育の傾向を確認する
このウェブアプリでは2頭以上を測定すると、グラフ、平均胸囲充足率、近似直線の傾きが表示されるようになっています。これらは測定した牛群の発育の傾向を表します。

では例として、下の結果をご覧ください。これはとある農場で21頭の子牛を測定した結果になります。

結果は平均胸囲充足率が96.2%、傾き(近似曲線の傾き)が-0.07となっています。この結果から、測定した牛群は日齢を追うごとに発育が若干遅れ気味になっていることがわかります。飼養管理見直しなどの対策することで、平均胸囲充足率も高くなり、さらに病気に強い牛群に出来る可能性もあるということです。

また個別の胸囲充足率を見ていくと、牛群の中で明らかに発育が遅れた牛がいることがわかります(赤丸)。

こういった牛は過去の治療歴などを調べると、「低体重で生まれた」「下痢が長引いた」などの何かしら異常があることがあります。そういった場合は、個別に対策を考える必要があります。また将来的に病気しやすいこともありますので、哺乳期間の延長や脂肪酸の添加などの対応を検討しつつ、要注意牛として頭にいれておく必要があります。

このように日齢をバラけさせて複数頭測定することで、牛群の傾向を把握することもできます。可能であれば哺乳期から離乳後まで測定すると、離乳の影響なども調べることが出来るためオススメです。

長文になってしまいましたが、以上が現時点でのざっくりとした使い方になります。他にも結果のCSV出力などの機能もありますが、今回は割愛します。

ウェブアプリの機能に関しては、今後もアップデートする予定です。何かご意見やご質問、ご相談などありましたら、ぜひホームページの「ご質問・ご相談」コーナーなどから教えていただきたいです。

前回のコラムでも触れましたが、DGや胸囲充足率のように発育を数値化するということは非常に重要だと感じています。ぜひ今回のコラムやウェブアプリがご参考になれば!と思います。
 
 
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