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橋本匠護のコラム
妊娠維持期にイネWCSを給与する際の注意点

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2025年10月17日

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鹿児島では晴れが続き、10月ですが昼間は暑いです。ちらほら田んぼではワラが干されています。

ということで、今回のコラムではイネWCSについてです。粗飼料として使用されている農場さんも多いと思います。これまでのコラムでも何回か取り上げてきましたが、イネWCSの特徴として「タンパク(CP)が低め」で「エネルギー・カロリー(TDN)は高め」ということが挙げられます。

そのため母牛のタンパク要求量が多くなる分娩前後は他の乾草を給与する、もしくは工夫して給与する必要があります。これについては過去のコラムで紹介しています。

では分娩前後ではなく、妊娠維持期はどうでしょうか?

実は妊娠維持期においても、イネWCSを給与する場合は注意点があります。注意点の一つが、母牛の過肥(太り過ぎ)です。

上にも書きましたが、デンプンが多くなりやすいイネWCSは「エネルギーが高い」傾向にあります。また一般的に嗜好性もよいです。そのため給与量によっては、維持期の母牛が太りすぎてしまうことがあります。

妊娠維持期の過肥は、分娩前後の採食量低下や代謝性疾患の発生につながることもあるため要注意です。また分娩時の難産の原因になることもあります。

そのため牛の太り具合(ボディコンディションスコア)を確認し、太りぎみであればイネWCSの割合を減らし、稲わらや麦稈などを適宜給与するなどの対策をとると良いかもしれません。

過肥以外にも注意点はありますが、ぜひ給与されている場合は牛のボディコンディションスコアのチェックをお願いします。ボディコンディションスコアの確認方法に関しては、弊社YouTubeでも紹介していますので、こちらもご覧ください。

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