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加地永理奈のコラム
プリプリのおへそ

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2025年9月3日

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「生まれたばかりの子牛の臍がしごけません!」
という稟告の子牛を見させてもらいました。

生まれたばかりの子牛の臍帯は、上から下にしごいて血液を出し、膜がペタッとした状態になるよう、農場スタッフさんに指導しています。
ただ、たまに膜の中に体内に引き戻されなかった臍動脈などが残っていることもあり、臍帯がペタッと閉じない場合もあります。

しかし今回は、そのような臍遺残とは少し違っていました。

臍帯全体が一つの管のようにプリプリとしていて、まるでホルモンのよう。
これは乾かずに細菌感染の原因になりそうだと判断し、短く切ってクリップで止めることにしました。

↓切断後

切断前の写真は撮りそびれました。

穴が3つ開いていることは肉眼でわかりましたが、それぞれ管で分かれているわけではなく、どれが臍動脈だとかは区別がつきませんでした。
脂肪組織の中に穴が開いているような感じです。

こんなお臍初めて見たなーと調べてみたところ、このお臍のまわりのプリプリとした組織は「ワルトンゼリー(jelly of Whar-ton)」というそうです!
胎子に必要な酸素や栄養を運ぶ血管を外力から守るクッションのような役割を担っていました。
この弾力性によって、胎内で臍帯内の血流が遮断されるのを防いでいたということです。

臍がしごけなかったのも納得です。

この子牛について詳しく話を聞いてみると、3週間近い早産だったとのことです。
早産だったために、「ワルトンゼリー」がしっかり残っていたようですね。
 
 
 
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今週の動画
尿道下裂【牛の先天異常】

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