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橋本匠護のコラム
ガッツリ尿道下裂の子牛に遭遇した話

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2025年8月15日

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先日、とある農家さんから、こんな連絡が来ました。

「2週齢の子牛なんですけど、肛門の下?が裂けてる?みたいで・・」

連絡をされている農家さん自身も、いまいち状況を把握されていないような感じです。とりあえず往診すると、こんな事になっていました。


↑確かに肛門の下が裂けているように見えます

このときまで写真や動画でしか見たことがなかったのですが、これはいわゆる「尿道下裂」という生まれつきの異常(先天異常)です。写真のピンク色の部分は溝のようになっており、本来は閉じて尿道になる部分です。そのため写真の子牛は雄ですが、陰茎からではなく裂けているあたりから排尿するそうです。

尿道下裂のように先天異常を持つ子牛は、他の臓器にも異常があることがあります。2008年の報告によると、18頭の尿道下裂の牛のうち16頭が他の奇形も伴っていたそうです。

今回の子牛も診察すると心迫が速く、わずかに心雑音も聴取されたため心奇形も疑われます。このあたりはエコーなどで精査をしてみようかな、と思っております。ちなみに心臓以外にも肛門閉鎖や陰睾(潜在精巣)などを合併することがあるようです。

また今回の子牛の場合は開口部の位置的に、泌尿器の感染にも要注意だと思います。当面の方向性としては、このあたりをケアしつつ普通に飼養してみることに。続報があれば、またコラムで紹介したいと思います。
 
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今週の動画
今の所、これが一番かな〜

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