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戸田克樹のコラム
第499話「僕らはどうして直検をするのだろう⑥」

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2025年8月7日

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 今回は繁殖母牛に直腸検査を理由について、残りの項目についてコメントしていきます。
 分娩後の母牛では、フレッシュチェックといって子宮の収縮具合や卵巣の大きさ、黄体や卵胞発育度合を確認することがあります。産後1か月ごろに行う農場が多く、分娩後30日ごろのタイミングで粘液の濁り具合や子宮の膨満度を確認することで産後の子宮回復が順調に進んでいるのか、それとも治療が必要な状態なのかを確認します(写真1)。繁殖器の回復が遅れた場合はそれだけ初回授精(移植)の機会も遅れます。場合によっては抗生剤の投与などを検討しなければいけませんので、フレッシュチェックはおすすめです。ただし、ここで注意しなければいけないのはホルモン剤の投与は避けるという点です。繁殖器の回復も不十分な時期にホルモン剤を積極使用すると、その後の周期の乱れや鈍性発情などにつながります。
 そして、臨床獣医師が直腸検査を行うであろう稟告でもっとも多いのが「発情が来ない」というものかもしれません。子宮の状態、両卵巣の状態を直腸検査で確認し、必要な処置をしていきます。発情が来ない原因は卵胞嚢腫、黄体遺残、卵巣静止といった卵巣の問題だけでなく、子宮蓄膿症や内膜炎など子宮に問題があることもあります(写真2)。「発情が来ない」と言われても、検査で黄体の存在が確認されることは多いです。黄体があるということは、検査をする数日前に排卵があったということになります。鈍性発情という牛側の問題もあるかもしれませんが、管理者側がうまく発見できていなかった可能性もこうした所見から伺うことができます。


写真1:きれいな発情粘液


写真2:子宮蓄膿症で確認された膿汁
 
 
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