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戸田克樹のコラム
第498話「僕らはどうして直検をするのだろう⑤」

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2025年7月31日

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特に去勢オスでは尿石症の発症率が高くなるので直腸検査をされる機会はありますが、それと比べものにならないほどに繁殖用のメス牛は直腸検査をされる機会がずば抜けて多いです。

繁殖牛で直腸検査をする理由は大きく分けて以下の4つです。
① 妊娠鑑定
② 分娩兆候確認
③ 産後の状態確認
④ 発情不明瞭時のチェック

文字数の都合上、今回は①と②についてコメントしていきます。

妊娠鑑定はエコーで確認する場合は早ければ胎齢が30日程度から行うことができます。手だけで鑑定を行う場合は子宮の膨満度や胎膜スリップの有無を確認しなければいけませんので、胎齢が40日を超えてから行うケースが多いです。早期鑑定ではその後の胚死滅の可能性があるため再鑑定は必須です。また、子宮の扱い方によっては流産を招いてしまうこともあるので、判断がつけられないときは粘るのではなく速やかに再鑑定の日取りを決めた方が無難です。
分娩兆候を確認する機会は「分娩日を過ぎたけど生む気配がない」という稟告を受けたときに発生します。もちろん、乳房の張りや外陰部の弛緩具合の視認に加え、膣鏡による子宮頸管の開口状態の確認も併行して行うのですが、直腸検査で胎子がどの程度上がってきているかを確認することも重要です。また、このときに過大子なのかどうか、頭位なのか尾位なのか、活力はあるか、といったことも確認します。もちろん「妊娠しているか」も重要な確認項目です。「妊娠していませんよコレ!」とコメントしなければいけないケースも残念ながらあるのです(泣)。

つづく
 
 
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パーティライトでカラス避け

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