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第497話「僕らはどうして直検をするのだろう④」 |
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2025年7月24日
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尿石症を疑うときは直腸検査が必須です。その理由は「オペが必要なレベルかどうか」をしっかりと見極めるためです。例えば、包皮に多数の結石が付着していた場合を考えてみましょう。陰毛が濡れていれば、ひとまず排尿ができていることから尿閉の可能性は低そうです。しかし、膀胱がある程度大きくなっていれば、排尿が難しくなっていることが伺えます(写真⑦、⑧)。この場合は、ただちにオペをする必要はないが、治療により状況が改善しない場合はオペが必要になる可能性があることを事前に伝えておくことができます。逆に、陰毛が渇いていて元気もない、脱水もしていて下痢もしているのに膀胱が触れないような場合は・・・すでに膀胱破裂を起こしていると言えます(写真⑨)。このケースではすぐさま尿道バイパス術を行わなければ死が待っています。また、膀胱の確認だけでなく腎臓の大きさを確認しておくことも大切です。腎臓は左右にそれぞれ1個ずつありますが、左腎は右腎に比べて尾側にあるため触れることが多いです。もし触ってみて大きければ、腎臓内に結石が詰まって肥大している可能性もあります(写真⑩)。こうした重症度判定のためにも、尿石症における直腸検査の重要度は非常に高いことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
ひとまず、尿石症を疑う症例であれば膀胱の状態を確認し、重症度を判定しておくことは必須事項です。獣医師が来るまで時間がある場合は、緊急度を把握するために事前に検査しておいてもよいかもしれませんね。

写真⑦:尿閉のため激しく膨満した膀胱

写真⑧:結石による尿閉

写真⑨:膀胱破裂のため腹腔穿刺にて排尿

写真⑩:多数の腎臓結石にて腫大した腎臓
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