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第496話「僕らはどうして直検をするのだろう③」 |
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2025年7月17日
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直腸検査(以下、直検)の目的のふたつめは「膀胱の状態を確認する」ことです。
膀胱の状態を確認すべき病名といえば「尿石症」に他なりません。特にオスの場合はメスに比べて尿道が細く長いために尿閉が起こりやすいため、尿閉の有無を確認するためには膀胱の膨満度の確認は必須です。
尿石症の代表的な症状といえば、
① 包皮に結石がたくさんついている(写真①)
② 尿の出が悪い
③ しっぽをよく挙げている(写真②)
④ 腹をときどき蹴る
⑤ 足を投げ出して横になり、苦しそうにしている(写真③)
⑥ 変な下痢をする(写真④)
⑦ 激しく脱水している
などのような症状があります。軽症な順に症状を紹介していますので、下に行くほど尿石症の重症度は高いです。ちなみに、④以降の状態は排尿障害を起こしている可能性が高いため、オペを行わなければいけないかもしれません(写真⑤)。とくに、膀胱破裂まで起こしていると、尿が腹腔内に漏れ出すために血液中の尿素窒素やクレアチニン値の著増が見られます。⑥や⑦のような症状が見られる尿石症では、ほぼ間違いなく膀胱破裂を起こしていると言えます。この他にも尿道破裂や重度の包皮炎で包皮~鼠径部にかけて大きく腫れることもあり、そうした症状も重症度は高いと言えます(写真⑥)。

写真①:陰毛に多数付着いした結石

写真②:持続挙尾

写真③:尿閉にて起きられなくなった牛

写真④:尿毒症を呈した牛の下痢便

写真⑤:尿路バイパス術

写真⑥尿道破裂による包皮腫大
つづく
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