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加地永理奈のコラム
手足を冷やす熱中症対策

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2025年8月6日

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気温40℃を記録する猛暑が続いていますが、皆さまご無事でしょうか…。
毎日ウシとヒトの暑さ対策に悩まされていることと思います。

そこで今回は、ウシにもヒトにも使える冷却方式をお伝えします!

それは首ではなく、手足を冷やすことです。
首には太い血管があり、血流量が多いため、体を冷やすには効率的だというのが主流ですよね。
これももちろん大切ですが、最近話題になっているのは手足を冷やす「AVA冷却」という方法です。

AVAとは、動静脈吻合 (arterio-venous anastomosis) といって、動脈と静脈が直接つながった血管のことです。
体幹部の皮膚には存在せず、手のひらや足などの末梢血管に分布しています。
毛細血管よりは太い血管で、深部の熱を皮膚表面へ運び出し放熱する重要な働きを担っています。

このAVAを冷やすことで、首の冷却よりも効率良く、体の深部まで冷やすことができると言われています。
ただし、このAVAによる体の冷却機能の効果が最もよく表れるのは、環境温度が20℃くらいのときです。
30℃以上の高温になると、体表で冷やされないまま高温の血液が深部に戻っていってしまいます。
逆に10℃以下になると、深部を冷やさないように血管が収縮して放熱しないように働きます。

そのため、「15℃くらいの冷水で手のひらを冷やしましょう」というのがAVA冷却のポイントです。
15℃は、キンキンには冷えていないけれどやや冷たい程度で、だいたい水道水の平均温度くらいです。

ウシでもヒトでも、いつもの首の冷却に加えて、手足の四肢も冷やすことを意識してみてください。

ただウシでは、蹄を冷水に浸すと蹄病のリスクになってしまいます。
たとえば扇風機を足元に当たるようにし、さらに蹄近くの毛を剃毛しておくことで、AVA冷却効果が得られると考えます。
 
 
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