2025年7月29日 *********************************************************** 【 短期間(3カ月以内)で再開できた国 】 フランスやブラジルは中国との関係が安定しており、技術文書や証明書の協議が事前に完了していたため、再開までの期間が非常に短かったです。これらの国々は、双方の信頼関係と準備が整っていたため、スムーズに再開が実現しました。 【 長期間(1年以上)かかった国 】 一方、イギリスは他の国々とは異なり、再開に1年以上を要しました。証明書類の整備に時間がかかり、ブレグジット(EU離脱)による政治的な混乱が影響を与えた可能性もあります。イギリスの場合、政治的な背景が貿易交渉にも大きく影響を与え、再開までに時間を要しました。 では、日本の場合はどうなるのでしょうか。現状、書類調整が順調に進み、輸出認可施設が早期に登録される場合、早ければ2025年の10月~12月、すなわち年内には再開される可能性もあると考えられています。しかし、通常のプロセスや現場整備に数か月から半年程度を要する場合、再開は2026年前半になる可能性もあります。 ただ、日本が再開を期待する中で、私が最も懸念しているのはアメリカの政策になります。米国はトランプ政権以降、バイデン政権を含め、中国を「戦略的競争相手」として位置づけ、経済圧力(関税、半導体禁輸)、軍事的けん制(台湾・南シナ海問題)を強化しています。 現在、日本の防衛政策は米国との連携に依存しており、日米同盟を基盤とするインド太平洋戦略の枠組みでの抑止力が重要課題となっています。また、日本銀行や財務省の政策は米国主導のドル体制や貿易秩序に深く関与しており、経済安全保障の観点からも米国との距離を取ることは現実的ではありません。 このような背景の中、日本は米国と価値観・安全保障・経済構造を共有することになりますが、中国側から見れば、日本は「相手側にいる」とみなされることが容易に予測できます。この状況では、特に畜産物など国家戦略資源の輸出拡大は、中国からの政治的反発や貿易カードとしての圧力対象となりやすい可能性があります。 輸出再開によって和牛の枝肉価格が上昇し、農場経営が改善されることを期待していますが、再開には政治的・経済的な障壁があるので、現時点での畜産現場での最も現実的な受け止め方は、過度な期待は避け、慎重に待つというところでしょうか。 |