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ボツリヌス症について

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2025年7月28日

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個人情報に抵触するため詳細はお話しできませんが、関東で「ボツリヌス症」が疑われる症例が出ています。

これまで2度ほど経験しましたが、その事例で牧場でそれまでと何か変わったことを聞き取りすると、いずれもカラスが増えたな、と畜主さんが感じていました。

ボツリヌス症も、原因菌はクロストリジウムの仲間(クロストリジウム・ボツリナム)です。血便を引き起こすクロストリジウム・パーフリンゲンスも土壌菌ですが、カラスによって運ばれる事が知られています。

ボツリヌス菌も、やはりカラスが運ぶのではないかと考えられています。
以前の症例では、最も疑われたのは水源の屋根が大きく開いていて、カラスが侵入し放題だったため、そこから飲み水を通して感染が広がったのではないかと地元の家保の方と話していました。

ワクチンはキャトルウィンBO2というものがありますが、ワクチンには「発症防御能」はありますが、感染防御能はないこと、100%効果のあるワクチンは存在しないこと、等から僕は防鳥ネットが防疫の基本だと考えています。

ボツリヌス症の特徴は、起立不能に陥り、特に後躯麻痺が顕著です。
また流涎や舌の麻痺なども診られます。
体温が上昇しない例や、かえって低下する例も多くみられます。

ボツリヌス菌はA~G型の7種類がありますが、牛に病気を起こす毒素はC型、D型で、人に症状を起こす毒素はA型、B型(時にはE,F型)ですから、ヒトに直接危険というわけではありませんが、農場では次々と発症が続き、経営を大きく圧迫するのでご注意ください。
カラスが増えてきたという気がしたら、ボツリヌス菌を持った渡りガラスかもしれません。問題が起こる前に、防鳥ネットを貼る、ビタミンAの不足がないか確かめる、など迅速に実行しましょう。
 
 
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今週の動画
パーティライトでカラス避け

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