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松本大策のコラム
「夏場の管理」

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2008年7月28日


 みなさん毎日暑いですねぇ。バテてはいませんか?暑いと、人間の身体をうまく動かすための触媒である「酵素」の働きが鈍って、老廃物の分解や排泄がうまくいかなかったり、エネルギーがうまく行き渡らなかったりで全身の臓器の元気がなくなります。これがいわゆる夏バテです。たとえば肝臓の働きが低下するとエネルギーがうまく作られなかったり、毒物や老廃物の分解がうまくできなくなりますし、腎臓が疲れると尿による老廃物の排泄がうまくいかなくなって身体がむくんできたりします。そうなるとさらに体調は悪化して、心臓の働きも弱くなります。そうすると肺に送った血液が心臓まできれいに戻るだけの拍出力が不足するので、血液中の水分が肺の血管からもれ出します。この状態が「夏場の肺水腫」です。
 これからの季節、夕方に牛さんがゼーゼー言ってて体温が上昇し、獣医さんに見てもらうと肺に湿性ラッセル(肺に水が出たときの音です)が聞こえる。それで「肺炎だわ」というわけで治療をする。でも治らない、あるいは翌日死んでいた、などというお話しを時折耳にします。
 これは、先ほどお話しした、熱射病と夏バテからの急性肺水腫の状態ですから、肺の状態次第では緊急出荷した方がよいですし、軽度のラッセルくらいだったら、後頭部から水をかけて冷やすのが一番です。角の後ろから水をかけてしばらくしたら少しずつ首筋、背中、全身、と水で冷やしてやります。
 脱水があるようでしたら点滴(ハルゼンのような若干高張のものがよいです)に7%重曹注500ml〜1リットル、レバチオニンやアンナカ(強心剤)、パンカルなどを混ぜてゆっくり打ってあげます。心臓と相談しながらゆっくり打ってあげないと、肺水腫が急激に悪くなります。夏の夕方に呼吸が速い牛さんがいたら、まずはとにかく冷やすのが一番大事です。
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