2025年7月15日 *********************************************************** 期待しすぎるのは少し危険ですが、肉用牛業界にとって決して悪い話ではありません。ほんの少しでも消費拡大につながるのであれば、それは非常にありがたいことです。ただ、小生は中国との牛肉の輸出入に関して、それほど詳しいわけではありません。そこで今回からは、この協定についていろいろと調べた内容を、小生の独断と偏見で、数回に分けて紹介してみようと思います。 さて、最初の問題。 実は、発端はBSE(牛海綿状脳症)でした。2001年9月、日本で国内初となるBSEの発生が確認されると、中国政府は即座に日本からの牛肉輸入を全面的に禁止しました。ここが、すべてのスタートラインです。 そういえばBSE騒動、ありましたよね~~~ とにかく、あのときの畜産業界は地獄絵図のような状況でした。牛肉の価格は大暴落し、流通現場も消費者も大混乱。小生が臨床獣医師として歩みを始めたころは、まさに口蹄疫やBSEなどの家畜伝染病が立て続けに発生し、「この業界、一体全体どうなってしまうんだろうか・・・とんでもない世界に足を踏み入れてしまった」と不安ばかりが募る時期だったのを、今でもよく覚えています。 では、日本と同時期に中国からの輸出停止措置を受けた英国とフランスは、その後どうなったのでしょうか。英国の場合は、なんと約20年近くにも及ぶ輸入停止が続いた末に、ようやく2018年6月に、中国が英国産牛肉の輸入再開を認めると発表しました。フランスもまた、約17年間にわたって牛肉輸入が禁止されていましたが、こちらも同じく2018年6月、検疫協定の合意を経て、輸入再開が正式に決定されています。 では、日本はというと、2019年11月25日に、実は今回発効した協定に署名までこぎつけていたのです。当時は農家さんたちが皆さん鼻息荒く、これで枝肉価格はすごいことになるぞとテンションが上がっていたのを思い出します。しかし、その後輸出に関しての話は全くでることはなく、気が付けば誰もそのことを語る人はいなくなっていました。俗にいう、ぬか喜びというやつです。 そこから先の道のりが、まぁとにかく長い、長い。国際政治や検疫制度、時折見える外交上の駆け引きなどが複雑に絡み合い、実際の発効までに約5年8か月もかかっています。次回は、この「なぜそんなに時間がかかったのか?」という点を含め、今回の協定について、さらに深掘りしていきたいと思います。 |