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これからの季節に向けて、肉用牛繁殖母牛の管理で注意すべき点 |
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2025年6月30日
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1. 暑熱対策
繁殖母牛は暑さに弱く、暑熱ストレスは受胎率の低下、流産、乳量の減少、疾病発生率の増加など、様々な悪影響を及ぼします。特に、妊娠後期や授乳期の牛は熱ストレスを受けやすいです。
常に新鮮で冷たい水を十分に供給できるよう、水槽の数を増やしたり、清掃を頻繁に行いましょう。飲水量が確保されているか、定期的に確認することが重要です。
また、気温が高いと牛さんの深部体温も上昇します。特に発情で人工授精しても、精子は高温に弱いため、死滅してしまい受胎率が下がります。夏場は人工授精よりも受精卵移植の方が、受胎率が高いとされているのはそのためです。ミストや換気扇の設置、開放部の確保などで、舎内の空気を循環させ、熱気をこもらせないようにしましょう。また屋根の断熱材、遮光ネットの設置、樹木の植栽などで直射日光を遮り、体感温度を下げる工夫をしましょう。給与量の調整: 暑い時間帯は食欲が落ちるため、朝夕の涼しい時間帯に重点的に給与したり、嗜好性の高い飼料(良質な乾草など)を与えるようにしましょう。
また、夏場の高温多湿な環境では飼料が痛みやすいため、こまめに給与し、残った飼料は速やかに片付けましょう。腐敗した飼料や、脂肪分の酸化が進んだ飼料を与えると、第一胃異常発酵による内毒素や飼料のカビ毒、また過酸化脂質によるビタミンや肝細胞の破壊などが起こり、繁殖にとって極めて不利になります。
暑熱ストレス下では、ミネラルやビタミンAが失われやすいため、ビタミン剤などを補給なさる方も多いと思いますが、ビタミンAだけでなく、その材料となるβカロテンは、独自の抗酸化作用ももち、繁殖に大きな貢献をしてくれます。青草やルーサンペレット、カボチャパウダーなどでしっかりβカロテンを補ってあげましょう。
暑さに弱い牛や、体調不良の牛はいないか、定期的に観察し、早期発見・早期対応を心がけましょう。熱中症も早期発見できれば、冷水で冷やす
、重曹注やリンゲルを補液してあげる、等の処置で早く治りますが、時間が経ってからでは、改善に長い時間を要しますし、体は回復したように見えても、発情が来ないとか、受胎しないといった経済性の低下も長く続くことになります。いつも以上に、牛さんの眼をみて体調に気を配ってあげましょう。
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今週の動画
牛の神経学的検査 〜固有受容感覚〜
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