2025年6月24日 *********************************************************** 牛の体温測定です。 これ、非常に大切。たとえば、自分が家でなんだかだるい時や熱っぽい時に真っ先にすることは、自分の体温を測ることではないでしょうか。 「あ、やべえ。熱が38.3℃ある。だから調子がわるかったのか・・・」 人さまの世界では、日々何かあると自分や家族の体温を測ることは当たり前のこととして行われています。 しかし、牛さんの場合、この体温測定があまり行われていない事例が多々あります。小生が往診を回る多くの農場では、農家さん自身で様子がおかしい牛さんの体温を測っています。そこで獣医師を呼ぶかどうかを判断するひとつの基準としています。さらに凄い農家さんは初診の時だけでなく、翌日の診察の時もすでに体温を測ってくださっていて、牛を捕まえながら体温を確認し、報告までしてくれます。 獣医師としては診察の時短にもなるので非常にありがたいし、診察結果と一緒に牛さんの体温を基に今後の治療方針を話し合ったりできるので、非常に良いです。検温している農家さんや牧場スタッフさんも治療の反応を自分で確認できるので、この点も非常に良いです。 ちなみに、牧場の方が日々気になる牛さんの体温を自分で測定する農場は、基本的に飼養衛生環境も良く、病気の発生や事故率も低いように感じています。非常に基本的なことですが、体温を測るということを粛々とできるという点で、他のこともしっかりとできているように感じます。あくまでも小生の独断と偏見ですが。 では、何故体温測定を自分でやらないのでしょうか。 もしも高齢であったり、特に体調に問題がなかったりするようであれば、日々の管理において自分の牛さんの体温は気になった時には必ず捕まえて検温するということにトライしてみてください。面倒な面もあるかもしれませんが、きっと良い影響があると思いますよ。牛に向き合う姿勢が変わります。 ただ、注意しないといけないのは、特に哺乳期の子牛などは結構体温が1日の中で変化する場合があるということです。気になるときなどは測り直すことも非常に重要です。慣れてくると、症状と体温が大体リンクしてきます。おや?と一瞬でも思った時は測り直す。これ、大事です。もちろん小生も報告されてた体温と臨床症状が一致せず、少しでも気になった時は素早くはかりなおします。 Aさん「先生、往診お願いいたします。8カ月の和牛肥育去勢の熱が40.3℃あって、呼吸がはやいんです。」 稟告の中に牛さんの体温が入っている世界。ここには、体温という数字以上の牛さんに接する気持ちという大切なものがあるように思います。 パドックやハッチに入って検温するのが忙しいし面倒くさい。その気持ち、よくわかります。でも、そこを乗り越えていくことで必ず牧場の状態が良くなると確信しております。是非やってみてくださいね! |