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2025年6月16日

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 みなさんは、尿膜管遺残に出会ったことありますか?
 尿膜管遺残のお話しの前に、尿膜管とは何かのお話しをしましょう。
 尿膜管とは、子牛がお母さんの胎内にいるときに、外側の胎膜である尿膜(内側の膜は羊膜)に繋がって子牛の膀胱内の尿を排泄する管です。
 この管を含めてお臍の穴を通る管(臍帯)の中には、子牛の体内を回って栄養や酸素を運び二酸化炭素や尿素などの老廃物を含んだ静脈血を胎盤まで運ぶ臍動脈が2本(子牛の後大動脈から膀胱の両側を通ってお臍を通り胎盤で老廃物をお母さんに受け取ってもらいます。もう一本はお母さんの胎盤から酸素や養分を受け取って子牛の肝臓へ運ぶ臍静脈です。

 これらの管は、正常であれば、生まれてしばらくするとペタンコのひも状に変わり肝円索とか膀胱円索というものに変化するのですが、ごくまれに尿膜管が閉じきらずに管状のまま残ってしまうことがあります。
 これが尿膜管遺残で、ひどいものではお臍からオシッコが出てくるようになります。さらに細菌感染があると尿膜管炎から膀胱炎、腹膜炎などに至る場合があります。

 さて前置きが長くなりましたが、この尿膜管遺残のオペのビデオをYouTubeにアップしたところ、各地の獣医師の先生から「最近増えましたよね?」というLINEをいただきました。これが今回お話ししたかったことで、僕も常々最近尿膜管遺残が増えたなぁ、と感じていたのです。
 僕が獣医師になってから3年前くらいまでは、獣医師人生で数例しか出会わなかったのに、ここ2年ほどの間にかなりの頭数を診ています。

 和牛でもホルスタインでも関係なく、和牛油の系統も関係ないようです。
 もしかしたら、出生後の尿膜管の正常な退縮プロセス(遺伝情報)を阻害するウイルスでも絡んでいるのか?とまで疑っています。


 
 
 
 
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