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松本大策のコラム
また熱中症の時期です

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2025年6月9日

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 本州は梅雨入りしてませんが、沖縄は梅雨明けしたとのこと。本当にこの国も広いものだと感じます。

 梅雨入り前でもチラホラ暑熱でバテている牛さんが出てきています。そろそろ熱中症対策を考えておかなければなりませんね。

 屋根の断熱とかミストの設置、ファンの増設などはみなさん取り組んでいらっしゃると思います。

 そこで今回は、牛さんの中からの対策のお話しです。といっても、ビタミンAやEの投与や亜鉛の投与などは、以前お話ししていると思います。
 人間の場合、最大の体温生産場所は肝臓といわれていますが、牛さんの場合は、体温(というか、熱)をもっとも産成するのは第一胃です。
 第一胃が異常発酵すると、さらに体温産成が強くなり、夏場は容易に熱中症症状を起こしてしまいます。風邪や腸炎での発熱が重なるとさらに増悪します。
 ですから、飼料給与の時間を一定にする、良質の粗飼料を与える、生菌剤や酵母製剤を添加する、などの対策で第一胃の発酵を安定させることは大変重要です。
 これは、夏場の午後に出やすい「急性肺水腫」を予防することにも繋がります。急性肺水腫は、口から泡を吹いて、1時間程度で死に至る恐ろしい病気なのですが、原因は第一胃の異常発酵で生じる3-メチルインドールという物質です。

 それから、なるべく冷たい水をふんだんに飲めるようにしておきましょう。農場によっては水道管やウォーターカップが直射日光で熱せられ、熱いくらいのお湯が出ているところもあります。
 牛さんだって、暑い日はたくさんの水を飲んで体を冷やします。でも、お湯だと飲みたがりませんし、せっかく飲んでも身体を冷やせないんです。
 また、午後2時ごろは一斉に牛さんたちが水を飲むため、水量次第ではチョロチョロしか飲むことができないケースも見かけます。この時間帯、みんなが一斉に水を飲んでも、十分な水量を確保しましょう。水圧の弱い農場の場合、断熱した揚水タンクに揚水しておくと、そこからの位置エネルギーで水量を確保できます。
 
 
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今週の動画
胃汁投与を行う症例

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