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橋本匠護のコラム
同一農場で軽度マグネシウム欠乏が2頭発生した話

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2025年6月6日

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とある繁殖農場で2頭採血をしたところ、以下のような結果となりました。


↑結果の一部です。

2頭に共通して、マグネシウムの数値が気になります。血清マグネシウムの基準値は1.8~2.3mg/dLとされており、1.0mg/dLを下回ると体の震え(振戦)などが起こり、起立困難に陥ることもあります。放牧牛で発生することが多く、別名グラステタニーとも言われています。今回の2頭は基準値より少し低く、軽度マグネシウム欠乏症の状態です。

マグネシウムが欠乏しやすくなる要因には、以下のようなものが挙げられます。

■ 寒冷ストレス
■ マグネシウム摂取量の不足
■ カリウム摂取量が過剰
■ 粗タンパク質摂取量が過剰 など

マグネシウム摂取量の不足が原因となるのはわかりやすいです。特に火山灰土壌はマグネシウム含量が低いため、火山灰土壌で育てた粗飼料はマグネシウムが不足しやすくなります。

過剰なカリウムは、ルーメン内でのマグネシウムの吸収を抑制するとされています。また粗タンパク質の一部が分解されて生成されるアンモニアも、マグネシウムの吸収を抑制する要因となります。そのため採草地への過剰な窒素やカリウムの施肥が、最終的にマグネシウム欠乏のリスクを高める可能性があるというわけです。

現時点では振戦や起立困難を示すレベルのマグネシウム欠乏ではありませんが、対策しておくにこしたことはありません。ということで、今回の結果を踏まえて、いくつか対策を提案しました。それについては次回にもちこします。

 
 
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今週の動画
胃汁投与を行う症例

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