 |
マグネシウム欠乏症対策の一例 |
コラム一覧に戻る
2025年6月13日
***********************************************************
2026年卒獣医師採用について
(有)シェパード鹿児島本所(鹿児島県阿久根市)は、獣医師を募集しております。詳細はこちらをご覧ください。
獣医さんの卵である大学6年生で就職を考えている方がいらっしゃったら是非実習に来てください!お待ちしております!
***********************************************************
前回のコラムに続き、マグネシウム欠乏症の対策についてです。今回のマグネシウム欠乏症発生農場に対して、以下のような対策を提案しました。
1. マグネシウム含有添加剤の利用
マグネシウムが足りないなら、添加剤で足そう!というシンプルな対策です。比較的取り組みやすく、うまく行けば即効性があると思います。一方でコストアップや管理が複雑になるというデメリットもあります。
2. 牧草地へのマグネシウムの散布(苦土石灰など)
マグネシウム欠乏症が発生する要因として、そもそも粗飼料中のマグネシウムが低いことがあります。そこで自給粗飼料中のマグネシウム含量を増やすために、牧草地への苦土石灰などの散布が有効になります。良質な粗飼料を作ることで、粗飼料と濃厚飼料というシンプルな管理でもマグネシウム欠乏対策が可能になります。
3. 粗タンパク質給与量など給与内容の見直し
前回のコラムでも紹介しましたが、粗タンパク質給与量が多くルーメン内で発生するアンモニアが過剰になることで、マグネシウム吸収効率は下がると言われています。今回マグネシウムが欠乏していた2頭の繁殖牛は、血中尿素窒素(BUN)という数値が若干高めになっています。ルーメン内の過剰なアンモニアは肝臓でBUNに変換されるため、今回の発生農場で粗タンパク質が多めに給与されている可能性は十分にあります。
一方で粗タンパク質充足率が下がりすぎると、繁殖成績の低下や虚弱子牛の発生につながります。そのため給与内容を見直しする際は、代謝プロファイルテストなどを実施し牛群の状態を把握してから行うほうが良いかと思います。もし牛群全体で粗タンパク質給与量が過剰な可能性があれば、獣医師や飼料メーカーさんと相談の上、対策に踏み切るのも一つの手です。
以上、対策の一例でした。マグネシウム欠乏症は、普段診療していると意外に遭遇することが多いです。もしお困りの方がいらっしゃれば、参考にしていただければ幸いです。
***********************************************************
今週の動画
カラスの被害
前の記事 同一農場で軽度マグネシウム欠乏が2頭発生した話 | |