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加地永理奈のコラム
気温差からの下痢?

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2025年6月4日

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ここ最近、下痢を発症する子牛が増えていませんか?
今回のお話は、地域によっては適さない場合もあるかと思います。
ただ私の診療エリアでは、下痢の発症が5月頃から増えていく傾向に感じます。
冬場より重症度は低いものの、頭数が多くなります。
暖かくなってきたのになぜでしょうか。

子牛の間で下痢が増えている場合、気温差の影響が一番強いと考えられます。

子牛は成牛に比べて体温調節が難しく、とにかく一定の環境を好みます。
ところが最近の気候は、晴れて30℃近くまで気温が上昇する日もあれば、昨日も雨が降ると日中でも20℃に届かなくなります。
たとえ人間の肌感覚では寒くなくても、「昨日と今日の気温差」が10℃あるだけで、子牛のストレスとなり体力を奪ってしまいます。

また、昼間が暖かかったからと、そのままの環境で夜を過ごすと、夜は15℃以下に下がっている日もあります。
この「昼と夜の気温差」も、10℃もあれば子牛は簡単にお腹を壊してしまいます。

とにかく子牛がいる場所の温度計をこまめに見るようにしましょう。
気温の上下変動がまだある場合には、暖房器具を片付けてしまうのは時期尚早です。
暖房器具がなくても、夜だけネックウォーマー、夜だけ腹巻きが、この時期でも活躍してくれます。
(飼料袋による使い捨て腹巻きの方法はこちら
OPUも25℃以上の環境が必要なので、直近でもヒーターをつけて行っていますよ。

「スプリングライズ」という言葉があるように、5月以降に親牛や育成牛でも下痢の発症が増えることもあります。
その要因には、寄生虫や細菌の増殖が考えられます。
参照コラム:「子牛の下痢が多発する原因の一つ

農場内で下痢が増えている場合、まずは原因特定のため糞便検査を実施するようにしてみてください。
治療に関しては、生菌剤、抗生物質、吸着剤、酵母細胞壁、駆虫剤など対応策は様々ですので、獣医師にご相談ください。
 
 
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今週の動画
出生後の子牛の処置の一例

今回の動画では、出生後の子牛の処置の一例を紹介します。処置の方法は様々ですので、あくまで一例としてご視聴いただければ幸いです。

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