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戸田克樹のコラム
第488話「分娩室と扇風機」

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2025年5月15日

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 4月は急に暑くなって、「こりゃあ今年も猛暑なのか!夏がもうきてしまうのか!!!」とげんなりしていたのですが、5月に入りなんだか涼しくなってきました。とくに雨が降る日は寒いくらいです。診療所管内の高原地帯にのぼると、くしゃみが出るくらい涼しい(寒い?)こともあります。気候というのは読めないものです。

 先日、「生まれた子牛がふらふらしている」という連絡で夜間に往診依頼がありました。子牛は介助すれば立てるのですが、左右にふらふらと揺れながら歩き、すぐに倒れこんでしまうような状態。体温は36.7℃と非常に低くなっていました。体はまだ濡れており、母牛が舐めた形跡がありませんでした。そして何よりも問題だったのが、分娩室の屋根に設置された扇風機が全力で稼働していたことでした。ただでさえ肌寒い夜間に扇風機がガンガン回っており、さらに子牛の体表が濡れていたために体温がどんどん奪われて、低体温症まで移行してしまったのでしょう。

 これだけ体温が低くなっていたにも関わらず、ミルクを吸おうとする意欲があったのが幸いでした。母牛の初乳を絞り、100ccほどゆっくりと飲ませ、加温した補液をゆっくりと点滴。点滴後は37.3℃に体温が上がってきたので、その後も初乳を絞って少し追加で飲ませて2時間後に畜主に再度体温を測ってもらうと37.8℃まで上がってくれました。翌日は無事に自力で立てて歩き回るまでに回復し、無事に治療終了となりました。
 今回は生命力の強い子牛で助かりましたが、発見が遅かったり、虚弱子牛だったりしたらそのまま亡くなっていた可能性も十分あります。日中は暑くても、夜は冷え込む日がまだまだありますので、分娩室や哺乳子牛を管理する場所では換気量を小まめに調整していただくようお願いいたします。
 
 
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今週の動画
マックマスター法 Let’s look for oocysts under a microscope

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