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戸田克樹のコラム
第487話「角で分かる発育度合」

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2025年5月8日

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 突然ですが、皆さんは牛の角をじっくり見たことはありますか?

 もし牛の角に「薄い線のようなもの」が刻まれていれば、それは過去に何らかの原因で栄養不良状態に陥っていたことを示しています。
 角の外側(角鞘)はタンパク質からつくられます。採食量が落ちたり消費カロリーが増大したりするなどしたときは一時的に角の伸びが遅くなります。その結果がうすい線のように角に刻まれます(写真)。つまり、角の線が多ければ多いほど過去に成長が遅れるイベントが多くあった牛だったといえるのです。オスであれば去勢時のストレスが角の線に現れますし、肺炎などの消耗性疾患で食欲のムラが続くと何本も薄い線が刻まれることもあります。とくに慢性的な栄養不良である牛の場合、線が多いだけでなく角の表面自体がガサガサでボロボロ…なこともあります。繁殖母牛であれば分娩の度に角の発育が遅れ(子供に栄養が取られるため角の成長が遅れる)、それが線や凹みとして刻まれます。
 牛の栄養状態を把握するためには、血液検査を行ったり、同居牛と体型を比較したり、腹囲や体型の丸みを見たり、いろいろな方法がありますが、角もその指標のひとつです。もし牧場に分娩を繰り返した母牛や慢性肺炎などで食欲不振が続いた牛(こちらはいない方が望ましいですが)がいましたら、ぜひ角の様子を見てみてください。果たして、どんな角になっているでしょうか。

 
 
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