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第827話:今後の方向性 その3 |
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2025年5月13日
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今の国家が考える和牛の経営の現状と課題、今後の方向性をまとめてみますね。
【1】生産基盤
◆ 現状と課題
• 繁殖経営は肉用牛の根幹であり、和牛改良や酪農への遺伝資源提供など重要な役割を担う。
• 高齢化と後継者不足で飼養戸数が減少傾向。
• 繁殖雌牛頭数はこれまで増加していたが、令和6年には減少に転じた。
• 高齢繁殖雌牛からの子牛は価格が低い傾向。
• 人気種雄牛や受精卵の集中利用で近交係数が上昇し、遺伝的多様性の喪失や疾病リスクが懸念される。
◆ 取組の方向性
• 高齢繁殖雌牛から若い能力の高い雌牛への更新を進める。
• 希少血統など多様性に配慮した改良と種雄牛造成を推進。
• 和牛遺伝資源の適切な管理・流通、知的財産保護の強化に引き続き取り組む。
【2】経営安定
◆ 現状と課題
• 枝肉価格の軟調、飼料高騰によって、子牛価格が下落(令和7年は上昇基調)。
• 飼養戸数の減少が進み、令和6年は例年以上の減少幅。
• 生産コストの内訳:
o 繁殖経営では労働費の割合が高く、規模拡大でコスト低減。
o 飼料費は100頭以上の大規模層で逆に増加(流通飼料の使用量が増えるため)。
o 肥育経営では飼養頭数規模によるコスト差は小さい。
• 経営力の向上(コスト管理・飼養管理)が不可欠。
◆ 取組の方向性
• スマート農業技術の活用(例:発情発見装置、分娩監視装置)。
• 放牧の活用や資源に合った適正規模の実現。
• 国産飼料の利用拡大:
o 青刈りとうもろこしを濃厚飼料の代替として活用。
o 国産稲わらの利用率向上と効率的な流通促進。
• 交雑種・乳用種の肥育経営でも技術活用を進める。
• 早期出荷による収益性・品質の確保を生産形態の一つとして推進。
• 科学的根拠のあるデータをもとに、流通関係者との理解形成を図る。
• 生産者の経営分析力を高めるために、畜産コンサルタントや農業組織による指導の普及を進める。
• 和牛肉の生産量見通し等の情報を提供し、経営判断の参考とする。
今回の報告の中の肉用牛経営に関しては、「高齢化と後継者不足」「コスト増加」「価格下落」「遺伝的多様性の喪失」といった複合的な課題が提起されていました。ただ、これは何も今に始まった話ではありません。ずっと昔からわかっていることです。それが今になって加速度的に悪くなってきているので目につきやすくなっているにすぎません。「高齢化と後継者不足」「コスト増加」については、小生は今後さらに状況は悪化してくると予想しています。
おそらく国は未来予測に関してある程度できているはずです。よくわかっているはずです。
しかし、報告を読んでもこの流れを今後どうしたいのか今一よくわかりません。
小生は現在の対応ではこの流れを止めることはできないと考えます。
不作為の作為?
ゴニョゴニョしているうちに、タイムオーバー??
考えても田舎芋侍獣医師にはどうしようもないので、寝ます。
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今週の動画
マックマスター法 Let’s look for oocysts under a microscope
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