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第484話「消毒薬は何がいい?④」 |
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2025年4月10日
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前回まで、消毒薬の種類ごとに特徴を紹介してきました。情報量が多かったので、簡単に表にまとめてみました

あまり耳にしないワードがあるかもしれないので、補足します。
グラム陽性菌
細菌の中で、細胞膜の外側に厚い細胞壁をもつグループです。グラム染色という染色方法で紫色に染まります。ブドウ球菌やレンサ球菌がグラム陽性菌として挙げられます。
グラム陰性菌
細菌の中で、細胞膜の外側にある細胞壁が薄いグループです。グラム染色で赤色に染まります。大腸菌、緑膿菌、サルモネラ菌がグラム陰性菌として挙げられます。こちらのグループの細菌名の方を耳にすることが多いかもしれません。
エンベロープ
ウイルスの中で外側を包む脂質二重膜のことです。脂なので、アルコールを含む消毒薬の影響を受けやすく、エンベロープを持つウイルスには有効な消毒薬の種類が多いです。
エンベロープがあるウイルスにはコロナウイルス、BVD(牛粘膜病)ウイルス、BL(牛伝染性リンパ腫)ウイルス、牛RSウイルスなどがあり、牧場で問題になるものが多いですね。逆に、牧場で問題になるウイルスには有効な消毒薬の種類が多いことからいかに消毒が疾病予防に有効かも見えてきます。エンベロープがないものは口蹄疫ウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどが挙げられます。これらのウイルスは非常にやっかいな敵であるといえますね。とくに哺乳期子牛の下痢で問題となるロタウイルスがこのグループに属しているのは問題です(もちろん口蹄疫ウイルスについても…)。
この表を見てみると、選ぶべき消毒薬の種類が少しずつ見えてきます。
まず、最初に結論からお伝えします。
普段の消毒は逆性石けんで問題ない!
皮膚や粘膜への刺激も少なく、畜体にも使用が可能、さらにほとんどの細菌に効果がありますし、エンベロープがあるウイルスにも効果があります(ウイルスに対しては効力が他の薬剤に比べて劣るため、希釈濃度を高めに設定してください)。日常的な牛舎消毒においては基本的に逆性石けんの使用で問題ないと思われます。
つづく
今週の動画
泡吹いた牛の原因は???
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