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加地永理奈のコラム
牛名板で記録管理

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2025年4月2日

繁殖農家の皆さまは、母牛の産歴や子牛の成績をどのように記録されていますか?

今回ご紹介したいのは、こちらの農家さんオリジナル記録表です。

こういった表は一般的に牛名板と言われていますが、オリジナルで作ってわかりやすく管理されている方がいたので、許可を得て写真を取らせていただきました。
記載されている情報は以下の通りです。

・母牛の基本情報
耳標番号、名号、生年月日、登録番号、血統が記載されています。

・繁殖記録
産歴が順番に記録できるようになっています。
産歴ごとに子牛の名前、生年月日、種、
そして子牛市場で取引された際の日齢、販売先とその価格が記録されています。
産歴数の横に、分娩予定日と実際の分娩日の差がメモされているところがポイントです。

・授精記録
 種付けをしたら、その授精日と種雄牛名、
次回発情予定日、妊娠鑑定予定日、分娩予定日
それに加えて増飼開始日も書けるところがポイントです。

この記録表をA5用紙くらいに印刷し、ラミネート加工して、それぞれ母牛が繋がれている場所の上に貼っていました。油性ペンで書いてアルコール綿で消せる仕様です。
通りすがりに見られるところに貼ってあり、それぞれどの牛がどの記録内容か、初見でも一目瞭然です。
発情のような行動がみられたときも、すぐに予定日などの情報を確認することができます。

最近でも助けられた出来事があったそうです。
予定日の1週間前なのに急に乳房が張り出した母牛がいて、いつも分娩予定日の2、3日前に分娩している記録だから念のため、と直腸内に手を入れたところ、なんと分娩が始まっていました!
しかも糞便をかき出そうとしたら産道から茶色い尿膜水が出てきて、産道内で一次破水も二次破水もしてしまっていたようです。
難産でしたが、適切な分娩介助により胎子が無事娩出されたとのことでした。

丁寧でわかりやすい記録は、子牛と母牛の助けになります。
皆さまもぜひ真似してみてください(^^)
 
 
今週の動画
牛の助産 midwifery【獣医師視点】

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