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戸田克樹のコラム
第482話「消毒薬は何がいい?②」

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2025年3月27日

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前回は消毒薬の種類を羅列しましたが、今回はその特徴をおさらいしていきましょう。
① 逆性石けん系
 特徴としてはどの消毒薬と比べて粘膜や皮膚への刺激性が少ないことが挙げられます。また、金属の腐食性もほとんどないため、牛体と畜舎の両方に使用することができます。ただ、効果がある病原体の種類が少ないのが難点です。一般的な細菌には非常に有効なのですが、ウイルスや真菌への効果は他の消毒薬に比べて劣ります。ちなみに石けんと表記されていますが、普段私たちが使う石けんは「陰(-)イオン界面活性剤」で、皮脂や汚れを落とす効果は強いのですが、殺菌力や消毒力は劣ります。逆性石けんは石けんの逆…つまり「陽(+)イオン界面活性剤」です。性質も逆なので、皮脂や汚れを落とす力は弱いけど、殺菌力や消毒力は強い!となります。ちなみに、消毒場所のpHによって陰イオンと陽イオンのどちらにもなりうる両性石けんもあるのですが(酸性下では陽イオン、アルカリ性下では陰イオンとして働きます)、消毒力が劣るのが難点。消毒をメインに考えるのであれば、逆性の方がよさそうです。
② 塩素系
 芽胞菌や真菌を含むほとんどの病原体に効果があるのが特徴です。つまり、塩素系消毒剤を使用することでほとんどの環境中の病原体を殺菌することができます。その一方で、金属腐食性が強いため注意が必要です。酸性下では有毒な塩素ガスが発生してしまうことが難点です。
③ ヨウ素系
 こちらも幅広い病原体に効果があります。塩素系と同様に金属腐食性が強いのが難点。結核菌に強い点や高温になると殺菌力が弱まる点が異なりますが、特徴からしても塩素系消毒薬と同じような消毒薬といえます。ちなみに、塩素やヨウ素はフッ素、臭素を含むハロゲン元素というグループに属しており、いずれも強力な酸化力を利用した消毒薬です。塩素やヨウ素系の消毒薬をまとめてハロゲン塩消毒薬と称されることがあります。

次回につづく
 
 
今週の動画
牛の助産 midwifery【獣医師視点】

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