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蓮沼浩のコラム
第821話:口蹄疫を意識する

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2025年3月18日

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昨年11月6日にランピースキン病の発生が報告されました。11月21日にはワクチン接種が実施されましたが、その後の12月19日、アメリカ政府は「ワクチン接種を行った県の牛肉の輸入を停止する」という措置を取りました。

伝染病の恐ろしさは、病気が広がり牛の健康に深刻な影響を与えるだけでなく、農場経営にも大打撃をもたらすことです。さらに、海外への輸出が停止されることも大きな問題となります。

今年3月4日、アメリカ政府はワクチンのリスク評価を終え、輸入停止措置の解除に合意しました。発生から約4か月後のことです。

ようやく安堵した矢先、3月14日に家畜保健所から診療所へファックスが届きました。内容は、お隣の韓国で口蹄疫が発生したというもの。

あまり聞きたくない情報ですね・・・

平成22年4月に発生した口蹄疫の疫学調査によると、3月20日ごろにはすでに日本に侵入していたと推測されています。まさに今の時期と重なります。
過去の口蹄疫発生に関する報告書を片っ端から読み返しました。日本で発生すれば、牛肉の輸出がほぼ全面的に停止されるため、極めて深刻な問題となります。
平成22年の口蹄疫では、4月に発生し、翌年2月に「ワクチン非接種口蹄疫清浄国」に認定されるまで約10か月を要しました。この間、牛肉の輸出は完全にストップしました。

ちなみに・・・

「口蹄疫の疫学調査に係る中間とりまとめ」に関する報告書には、分離ウイルスの性状分析結果などが記載されています。その中の豚と牛を用いた感染試験の結果は、口蹄疫の臨床症状や感染拡大のイメージを掴む上で非常に有用です。試験結果から、感染が驚くほどの速さで成立し、牧場内に広がることが明らかになっています。

これからの時期、獣医師や農場関係者だけでなく、業界全体で「口蹄疫」というワードを常に意識し続けることが重要だと考えます。
 
 
 
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