2025年3月14日 **************************************** 牛が立たないから診てほしい・・。そんな往診依頼を受けると、私は「牛の状態悪いかも?」と少し身構えます。起立不能となったのが哺乳子牛なのか、肥育牛なのか、繁殖牛なのかで原因となる病気の傾向は異なります。繁殖牛に関していえば、分娩後は起立不能が出やすいタイミングです。 分娩後の起立不能の原因としては、低カルシウム血症、閉鎖神経麻痺などの疾患が有名ではないでしょうか。乳牛においては、低カルシウム血症から何らかの要因で起立不能の状態が続くと「ダウナー牛症候群」と呼ばれる状態に移行します。ダウナー牛症候群では、起立不能の継続 ▷自重による後躯領域の神経・筋肉が圧迫損傷 ▷無理な動きで更なる筋損傷となり、最終的には治癒困難な起立不能状態になってしまいます。乳牛と比べると肉用牛では低カルシウム血症の発生頻度は少ないと思われますが、日々の診療でダウナー牛症候群のような牛をみることは結構あります。 上記の疾患は症状や分娩の状態、産次などの情報と血液検査の結果をもとに診断をしていきます。特に血液検査は非常に重要で、原因疾患を特定するだけでなく、治癒する可能性が高いのか低いのかということ(予後)の判断材料となります。特に予後判断においては骨格筋損傷の度合いを示すCK、AST、LDHといった項目はとても有用であると言われています。 |