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蓮沼浩のコラム
第818話:和牛子牛の家畜市場取引状況

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2025年2月25日

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前回のコラムでは、和牛子牛市場の平均価格が上がって生きていることの理由を40カ月以上の黒毛和牛雌牛頭数の推移から説明いたしました。

では、実際に和牛子牛市場での現在の上場頭数はどのように推移しているのでしょうか。この点を調べるために、(独)alicさまのデータを使わせていただき、全国の家畜市場で取引されている子牛の頭数をおいかけてみました。

そのデータが以下のようになります。

令和4年4月から令和7年1月までのデータになります。大体毎月同じような傾向で頭数は推移していきます。令和4年度の9月の数値と10月の数値が少し例年と違いますが、これは集計の取り方に何かあったのかもしれません。原因について小生はよくわかっておりません。何かこの時あったかなあ?

まあ、それはそれとして、小生が一番重要視しているのは令和6年度の11月からの動きです。このあたりから取引頭数が減り始めています。令和7年1月の取引頭数は令和4年度31894頭、令和5年度31565頭、令和7年度30128頭になります。令和5年度と比べて1437頭取引頭数が減っています。昨対比で4.6%の減少なり。

ここで小生が勝手に独断と偏見でいろいろ考えてみます。子牛の市場に出荷する月齢をまあ、ザックリ8カ月齢とすると、令和7年1月に市場に出てきた子牛は令和6年5月に生まれたことになります。種を付けたのはザックリ計算すると令和5年8月あたり。前回の40カ月齢以上の黒毛和牛雌牛頭数の推移のグラフをもう一度載せておきます。この時期はまだ大きな頭数の減少局面には入っていません。このグラフは経産肥育農場、繁殖肥育一貫農場の母牛の頭数も含まれているので、家畜市場に出てくる子牛の頭数と簡単には比較できませんが、これから半年もすると、子牛頭数減少がより一層加速してきそうな気配を感じます。一体どうなってくるのだろうか・・・。

この調子だと、子牛の取引頭数は令和7年2月、3月と続けて減少することは間違いなさそうです。ただ、令和6年の7月、8月は結構ET子牛も生まれているのでこれがどのくらい影響するのか。ただ、母牛の減り方には到底追いつくレベルではないように思います。ET子牛は現在出生頭数が漸減しているので、まあどうであれ和牛子牛の頭数は減ってきそうです。

繁殖農家さんとお話していると農家さんがボソッと一言。

「蓮沼先生・・・生かさず殺さずやな・・・」

以上です。
 
 
 
今週の動画
牛の表情と痛み【Facial expression and pain in cattle】

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