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第477話「診断がついたら・・・後はお願いします!」 |
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2025年2月13日
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2025年卒獣医師採用について
(有)シェパード鹿児島本所(鹿児島県阿久根市)、栃木支所(栃木県那須塩原市)ともに獣医師を募集しております。
詳細はこちらをご覧ください。
随時実習も受け入れております(5年生以上対象)。
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遠隔診療がそれほど珍しくなってきた昨今、私たちシェパードの獣医師も「注力すべきは診断である!」という意識で診療業務に勤しんでいます。どういうこと?という疑問が湧いてきますよね(笑)。
私たち獣医師が必要とされるのは、診断(=病名が決まること)というステージまでなのではないかという思いがあるのです。例えば、熱があって肺に雑音があれば「肺炎」という診断がつくので肺炎の治療(抗生剤や消炎剤の投与)を行います。また、下痢をしていて糞便中にコクシジウム虫卵が多数見られれば、それは「コクシジウム感染症」と診断がつくためサルファ剤を使用した治療が必要です。さらに、血液検査で肝数値が異常に高くなっていることが分かれば、それは「肝炎」として肝機能改善のための薬剤や添加剤を投与すればよいのです。少し乱暴な言い方かもしれませんが、診断さえつけば治療法はおのずから決まってくるので、あとは教科書やネット検索などで治療法を調べるだけ、というわけです。逆を言えば、診断がついていないと治療法が定まらないため、牛の体調を治せる可能性は低くなってしまいます。
さらに、診断さえつけば、農場の方に注射薬や経口薬を処方し、その日もしくは翌日から投与してもらうこともできます。もちろん、農場のスタッフは獣医師ではないので、事前に投与方法をしっかりとレクチャーするとともに、適切な量を処方し、使用したポンプ類などの器材もきちんと回収する必要はあります。また、処方した患畜がしっかりと治ったかどうか、その後の状態を確認する(再診をとる)必要もあります。また、薬剤処方後も容態が悪化する一方であれば、すぐに再診をとり治療方針を再考しなければなりません。しかし、もし処方薬で患畜の状態が改善してくれれば、投薬期間中にかかったであろう獣医師の往診料や注射などの技術料がカットできるメリットが発生します。獣医師にとっても往診時間が減ることは他の業務に充てる時間が増えることにつながるので、業界誌に目を通したり、論文を読んで知識を深めたり、何より日々の業務で手いっぱいにならないことで新しい発想や取り組みにトライしてみようというやる気もどんどん湧いてきてしまうかもしれません。
農家さんや牧場のスタッフにとっては少し負担が増える話ではありますが、各地で獣医師不足や牛群管理コストの増加が問題となる中、農場ができることは積極的にやってもらうことでこういった課題を少しでも解決できるのではないかと思うのです。
※もちろん、「これは獣医師が治療を続けないと危ない!」と思うような症状であれば、その状態が改善するまで徹底的に獣医師が往診、診察、治療まで連日行うべきですし、シェパードもそこは徹底しております。
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