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第476話「削痩とその原因④」 |
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2025年2月6日
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エサを食べない理由としてもっともメジャーなのは、やはり「病気」です。
病気のせいでエサを食べられていない
子牛も肥育牛も繁殖牛も、下痢や発熱で食欲は落ちてしまいます。すぐに治療して回復すれば痩せてしまうことはないでしょうが、気づかずに放置してしまったり、治療がうまくいかず治りが悪かったりするとあっという間に削痩まで進行してしまいます。肥育牛であれば肝炎やビタミンA欠乏症が食欲不振の原因として身近でしょうが、「削痩」状態にある牛を診察すると肺炎であることが非常に多いのです。群内で明らかに痩せている牛を見つけたら「肺炎じゃないの?」と疑って聴診器を当てるくらいです。実際、「牛が痩せている」と言われて聴診器を肺にあてるとすさまじい肺音が聞こえたり、「牛が突然死んだ」と聞いて解剖するとすさまじい肺病変を確認したりする機会が多いです。そのたびに「やっぱり肺炎だった(実は『突然』ではなかった)」と思うことが多いのです。

肺全体に出血性病変

気管には泡沫が充満
強い熱発や発熱によるぐったり感がはっきり示してくれる場合はすぐに発見することができます。しかし、多少の熱があっても元気だったり、飼槽に寄ってきたりする場合は見落とされてしまって慢性肺炎まで進行してしまうのかもしれません(もちろん肝炎や腎炎といった疾患でも食欲が落ちますし、遭遇の頻度は低いでしょうが、肝蛭という寄生虫感染も痩せていく原因としては考えられます)。発育が遅れたり、痩せてきたりする場合は肺炎であることが多いので、早期治療はもちろんのこと、場合によっては隔離する必要もあります。聴診や超音波検査などを利用して肺炎の有無を真っ先に確認することが必要です。
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エンテロトキセミア
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