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蓮沼浩のコラム
第816話:肉用牛生産費雑感 その3

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2025年2月4日

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肉用牛生産費をしげしげと眺めていると、ふとあることに気が付きます。令和5年の和牛の全算入生産費は肉用牛子牛と去勢若齢肥育牛ともに令和4年と比べて6.3%、4.1%と上昇しているのに、乳用種育成牛、乳用種雄肥育牛、交雑種育成牛、交雑種肥育牛の全算入生産費は22.7%、3.3%、18.2%、1.3%となんと下がっているのです。

あれ・・・なんでじゃろ?

そうだ、思い出した。例えば乳用雄育成牛。22.7%も全算入生産費が下がっています。この原因はもと牛価格の下落が原因でした。当時は酪農家さんで生まれてきたホル雄に値段がつかず、濡れ子で売ってもミルク代も出ないことから悲惨な状況になっていました。F1の子牛も同様に値段が暴落していました。小生はコンサル先の牧場で、100円とか500円の子牛を何頭もみています。

このことが原因で全算入生産費が下がっていたのです。内訳をみると、すべてもと畜費の下落により下がっていることがわかりました。ただ、現在はこのもと畜費も昔とは比べようもなく上がってきています。先日牧場にお邪魔した時は、導入担当の方が「高くて買えん」とおっしゃっていました。

需要と供給のバランス。

もと畜費に関しては、もちろん血統などの要因もありますが出生頭数の影響が非常に大きいと考えられます。時間差で需要と供給のバランスが変化していきます。非常に厳しい和牛子牛のセリ値も、少しずつ上昇してくる気配が感じられます。ここ1~2年であそこまで母牛の頭数が減っているのだから当然今後上がってくることが予想されます。ただし、受精卵子牛がドカッと増えたらどうなるかはわかりません。

ただ・・・やはりデータを見ていると一番問題なのが飼料費になります。

これだけはどうしようもありません。すべての区分で上昇しています。

気になったので肉用牛子牛と去勢若齢肥育牛の飼料費を以下にまとめてみました。

こりゃキツイに決まっている。
令和元年と比べて子牛で48%、肥育で51%もあがっているのですから。
もと畜費は需要と供給のバランスで変動しますが、この飼料費だけは如何ともしがたい。残念ながら日本はほとんどの餌の原料を海外に依存しています。今後の世界情勢でここは大きく変化していきます。今後のアメリカの動きが大きなポイントになりそうです。関税を強化していくとのこと。非常に気になります。
 
 
今週の動画
female urolithiasis

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