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加地永理奈のコラム
炭を給与するときのポイント

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2025年1月29日

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子牛の下痢対策として、子牛に炭を給与することがあると思います。
炭は、非常に細かいサラサラの状態で売られている「薬用炭」、木酢液を混ぜ合わせた「ネッカリッチ」などが販売されています。

炭の効果は「吸着剤」です。
これは、炭が多孔質構造となっているためで、消化管内で増殖した悪玉菌、毒素、ガスなどを無数の穴に吸着し、便と一緒に体外へ排出してくれます。
炭は、子牛で発生率の高いクリプトスポリジウム下痢症にも効果があることがわかっていて、子牛の下痢対策として長年使用されています。

ただし、炭をより効果的に給与するためには、避けた方が良い組み合わせもあります。

① 炭+生菌剤=△
炭の給与方法として、団子状に丸めて口に入れる方法があります。
このとき生菌剤も一緒に団子にしてしまうと、せっかくの良い菌も炭が吸着してしまいます。炭には悪玉菌と善玉菌の区別はつきません。

② 炭+ミルク=△
炭をミルクに添加して給与すると、子牛も飲んでくれやすいかと思います。
しかし、予防のためと言って、炭入りミルクを長期給与することはおすすめしません。
炭をミルクに混ぜると、ミルク内の栄養分も吸着して排出してしまうためです。
成長不良になりかねませんし、便の色も黒くなって、血便を判別しにくくなります。

したがって、炭はミルク前に給与し、生菌剤はミルクに混ぜて給与する、という順序がベストかと考えます。
炭はミルク前にあげそびれても、ミルク給与から2時間後(食間)でも同様に良い効果が得られるでしょう。

炭をあげているのに効果がイマイチ…という場合には、今回のポイントをぜひ確認してみてください。
 
 
今週の動画
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