(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
橋本匠護のコラム
本当に逆子でしょうか?

コラム一覧に戻る

2025年1月24日

****************************************
2025年卒獣医師採用について
(有)シェパード鹿児島本所(鹿児島県阿久根市)、栃木支所(栃木県那須塩原市)ともに獣医師を募集しております。
詳細はこちらをご覧ください。
随時実習も受け入れております(5年生以上対象)。
****************************************
 
逆子。それは発生率がボチボチあるにも関わらず、事故が起きやすい分娩になります。約3%の確率で発生し、正常頭位の分娩と比べると難産および新生子死のリスクが5倍高くなるとされています。

逆子を判断する上で、「頭部が触れない」ことは一つのポイントになります。しかし頭部が触れないからといって、逆子だ!と決めつけるのは少し危険です。というのも、前足から来ていても首が曲がって頭部が触れないことがあるためです。いわゆる側頭位などと呼ばれる状態です。

実際に側頭位を逆子だと勘違いして無理に牽引してしまった事例もあります。結果は、とんでもない難産になり帝王切開になる、もしくは牽引し経膣で娩出できたとしても子牛は死亡し、母牛は産道裂創や起立難渋になることがほとんどです。

こういった事故を防ぐためには、牽引する前に胎子の状態をより詳しく把握しておく必要があります。特に触れる足が前足なのか後足なのかは、重要になってきます。見分けるポイントはいくつかあると思いますが、「球節の上の関節の曲がる方向」は一つの判断材料になります。

■ 球節の上の関節(前膝)の曲がる方向が球節と同じ向き ▶ 前足
■ 球節の上の関節(飛節)の曲がる方向が球節と逆の向き ▶ 後足


↑球節の上の関節の曲がる向きは要チェック

「双子か否か」など牽引前に確認するポイントは他にもありますが、ぜひ前足or後足は確認してください。少しでも違和感があれば、獣医師に相談しましょう。
 
 
今週の動画
繁殖母牛の膣脱

|