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戸田克樹のコラム
第474話「削痩とその原因②」

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2025年1月23日

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前回は牛が痩せる原因として3つの要因を挙げました。今回はそのうちのエサが足りていない場合について考えてみましょう

「そもそもエサが足りない」とは?
 肥育牛ではほとんど起こりえない事象だと思いますが、繁殖牛では遭遇する機会が多いケースです。繁殖牛群を見ると、舌遊びが目立つ牛群に遭遇することがあります。

粗飼料が少ないとよく見られるのですが、これが群内の多くの個体もしくは同じ牛が頻繁に行っているときは要注意です。また、舌遊びがなかったとしても、飼料給与が終わってから1時間ほどが経過してもまだ立っていたり、歩き回っていたり、人の姿を確認すると勢いよく寄ってきたりする牛が多い農場でもエサが不十分な可能性があります。さらに、エサが不足していると空腹からくるイライラのせいか、群内闘争が増えます。傷やアタリのある母牛が多い群では給与量が不足している可能性があります。

もし、管理している牛群において舌遊びや群内闘争などのサインが確認できたら、一度給与量を見直してみることが必要です。繁殖牛においてはエサが不足すると発情の鈍化や受胎率の低下が起こります。母体の栄養不足や空腹ストレスが繁殖成績不振の原因であった場合、エサを増やすことで問題が一気に解決することもあります。逆に、エサが原因の場合はいくらホルモン剤を投与しても良好な発情発現や受胎率の改善がほとんど見られないことが多いです。繁殖母牛についていえば、栄養充足率が高いことは基本中の基本であると考えられます。
 
 
今週の動画
繁殖母牛の膣脱

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