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蓮沼浩のコラム
第814話:肉用牛生産費雑感

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2025年1月21日

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令和6年12月24日に農林水産省から令和5年の肉用牛の生産費が発表されました。和牛の子牛生産と肥育に関して、おそらく全算入生産費は上がっているだろうなと予測していましたが、やはり上がっていました。

子牛1頭当たりの全算入生産費は864,024円。令和4年は812,545円だったので51,479円の値上がりです。約6.3%のアップ。それではこの全算入生産費がここ数年でどのくらい上がってきているかといいますと・・・

令和元年655,600円だったので令和5年との差額は208,424円。率にして31.8%もコストが上がっています。それでは子牛1頭あたりの販売価格はどうかといいますと、令和5年は541,399円なり。令和元年は735,646円。194,247円下がっています。率にして35.9%の価格下落。

おまけに子牛1頭当たりの労働時間は令和元年が124.2時間、令和5年は139.37時間。15.17時間、率にして12.2%増なり。

令和元年と令和5年を比べると、コストが31.8%アップして、売上が35.9%下落。おまけに労働時間は12.2%アップということになります。とんでもなくひどい状況としか言いようがありません。もちろんこのような中でも利益をあげていらっしゃる方はいると思いますが、大部分の農場にとっては黒字経営など夢のまた夢です。

繁殖成績の改善、子牛の疾病予防などの技術論も非常に大切ですが、この数字をみるともはやそのレベルを超越しています。高齢化も含めて、今後さらに繁殖経営の農場が減少していく事は避けられそうもありません。

輸出が拡大したり、国民の手取りが増えたりして需要が増大し、枝肉価格や子牛価格が高騰してくれるといいのだけれど・・・

外交と経済政策。はたしてどうなる事やら。
 
 
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