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戸田克樹のコラム
第471話「生殖器の奇形④」

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2024年12月26日

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 黒毛和牛の臨床現場では繁殖メス牛の奇形に遭遇する機会は非常に少ないと思います。そもそもの発生率が低いこともあるのでしょうが、外見上にある程度特徴が現れる奇形であれば育成期までに発見されるので、その後肥育牛になることが要因と思われます。

 先のコラムで紹介した肉柱のように外から見ても発見できない奇形もあります。そのような外からでは分からない奇形のひとつに膣嚢胞というものが存在します。これは経産牛で発見される(これまでなかったのに、複数回お産した牛で発見される)ケースもあるのが特徴です。ヒトでいうところの「バルトリン腺嚢胞」のようなもので、膣内に水風船のようなプヨプヨと柔らかい袋ができる病気です。大きさはさまざまで、私が遭遇したケースではピンポン玉大のものもあれば、テニスボール大のサイズもありました。


膣壁にできた嚢胞

 小さいものであれば、授精(移植)や分娩のときにも邪魔にならないのですが、やはり大きなものであれば物理的な障害となってしまいます。分娩時に胎子が通過できない!など、問題となるサイズの嚢胞を確認したときは、「針で内用液を吸引する」という方法を取ります。


吸引液の様子

 ほとんどの場合、一度吸引したら再発はありません。嚢胞の内部には粘液が溜まっているだけなので、針で容易に吸引することができます。誤って膣を傷つけてしまうといけないので、処置が必要な場合はかかりつけの獣医師に依頼してくださいね。
 
今週の動画
シェイカーで経口投与!?

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