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戸田克樹のコラム
第470話「生殖器の奇形③」

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2024年12月19日

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 その他にも生殖器の奇形は存在します。遭遇する機会は少ないとは思いますが、いい機会なので今回のコラムで紹介してみます。

間性(inter sex)
 これは、オスとメスの中別を持つ状態を示しています。つまり、解剖学的に「完全な」オスもしくはメスの型を示さない状態がこれにあたります。通常は遺伝的な性、生殖器の性、そして外見的な性がすべて一致しているのですが、どれかひとつでもオスとメスが不一致である個体は間性であるといわれます。
 間性の中には真性半陰陽仮性半陰陽があります。精巣も卵巣も両方が体内に存在しているか、精巣と卵巣が合体したような卵精巣を持つ場合を真性半陰陽と呼びます。そして、外見と生殖器が不一致な場合(外陰部のようなものはあるのに精巣をもつ、もしくは陰茎のようなものはあるのに卵巣をもつ)を仮性半陰陽と呼びます。

肉柱
 膣内に存在する背側と腹側の膣壁をつなぐような策状物を肉柱と呼びます。

 AIやETのときに物理的な障害となるため、その際に発見されることが多いです。妊娠には影響しないのですが、分娩時になると胎仔が通過できないため難産の原因となってしまいます。繁殖供与しない場合は放置しても問題ないのですが、分娩を予定している場合であれば外科的に切断する必要があります。

ちなみに、腹側がすでに切れているケースにも遭遇したことがあります。

 この他にも、難産における膣壁や陰部の損傷がきっかけとなって後天的に陰門狭窄や膣狭窄が起こることもあります。どちらも次の分娩のときには胎仔の通過障害につながりますので、毎回の分娩を無理なく負荷なく安全に済ませることも非常に重要です。
 
 
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