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ウイルスで弱る季節になりました |
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2024年12月9日
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先週末から寒くなってきましたね。この時期に心配なのが、ウイルスによる腸炎や肺炎です。
なんと言ってもウイルスには抗生物質他、効果のある薬剤がありません。人間だといくつかあるのですが、牛さんでは使えませんし、コストも合いません。
計画的にワクチン接種する他、保温や栄養補給、ストレス回避などで、ウイルスによる病気を防ぐことが大切ですが、かかってしまったものは仕方ありません。
子牛がロタウイルスやコロナウイルスに感染すると、水のような下痢を飛ばして、時には急速に弱り、低体温症、起立不能に陥り、死んでしまう子も出てきます。
こういう子牛が出たときは、やはり輸血が一番効果的です。できるだけ歳を食ったばあちゃん牛から輸血すると、いろんな感染経験をしているので、免疫が高い可能性があります。
輸血の仕方は下のビデオで示しますが、輸血すると大抵は1度で大きく改善します。しかし、もう一歩かな?と感じたら連日同じ牛さんからの輸血をしてあげましょう。
輸血は、1週間以上間隔が空いてしまうと、子牛の方で他の牛の血液に対する抗体を作ってしまうため、免疫応答によりショックを起こす確率が上がってしまうのです。
ショックを防ぐために輸血の時は、重曹注とデキサメサゾンを加えるのですが、本格的なショックには対応できません。
ウイルス性の肺炎の場合、抗生物質は細菌の2次感染を防ぐ意味で使うのですが、ウイルスには効かないので、ネオアスなどを併用して焦らず淡々と治療していかなければなりません。
牛さんの状態をみながら、補液やビタミン剤の力も借りたりします。肺炎の場合は低調な補液剤を使わないこと、ゆっくり点滴してあげること、などの注意を守って肺に水腫を起こさないようにしましょう。
TSV3は、他のワクチンと異なり、抗体を作るだけでなく、γインターフェロンといういろんな病原体をやっつける免疫物質をかなり早く作ってくれますから、余分に準備しておくと、治りの悪い肺炎にもよいですよ。
今週の動画
冬の下痢対策 飼料袋腹巻き
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