(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
戸田克樹のコラム
第467話「久しぶりの除角」

コラム一覧に戻る

2024年11月28日

****************************************
2025年卒獣医師採用について
(有)シェパード鹿児島本所(鹿児島県阿久根市)、栃木支所(栃木県那須塩原市)ともに獣医師を募集しております。
詳細はこちらをご覧ください。
随時実習も受け入れております(5年生以上対象)。
****************************************
 
 「角が食いこんでる!」という連絡を受け、とある牧場へ車を走らせました。

 確かに食い込んでいます。どうやら、何らかのアクシデントで過去に角を折ってしまい、そのまま伸び続けた結果、ついに前頭部に先端が到達してしまった様子。牛自体は元気もりもりで、食欲もあるようなので一安心。

 ということで、さっそく保定して、鎮静をかけて、安全を確保した上で除角ワイヤーを使ってえっさほいさと角を切っていきます。保定前は鼻息荒く逃げ回っており、保定後も結構暴れる牛だったのですが、鎮静剤の効果もあり、作業中はおとなしくしていてくれました。

 無事に除角は終了。顔にはしっかりと角の食い込み痕が残っていましたが、幸いなことに皮膚の損傷はありませんでした。

 気づかずに放っておくと、角がそのまま皮膚を突き破って骨まで伸びていきます。時間をかけて少しずつ皮膚に食い込んでいくため、牛へのストレスも相当なものがあると思われます。過去には鼓脹症(遊離性ガス)を繰り返す母牛の角が食い込んでいることに気づき、除角をしたらその後一切ガスでお腹が張ることがなくなったというケースに遭遇したことがあります。腹囲の膨満と食欲廃絶にばかりに気をとられ、角の食い込みに気づかなかった観察力のなさを嘆くと同時に、疼痛ストレスから消化管の正常な運動が妨げられる場合があることに驚いたのを覚えています。

 角の折れ方によっては今回のケースのように将来的に皮膚に刺さるかもしれません。ぜひ、十分な観察をよろしくお願いいたします。
 
 
今週の動画
牛さんの目が飛び出ていると・・・

|