|
子牛の股関節脱臼の整復 |
コラム一覧に戻る
2024年11月27日
****************************************
2025年卒獣医師採用について
(有)シェパード鹿児島本所(鹿児島県阿久根市)、栃木支所(栃木県那須塩原市)ともに獣医師を募集しております。
詳細はこちらをご覧ください。
随時実習も受け入れております(5年生以上対象)。
****************************************
股関節脱臼だった子牛を整復することができました~
その子は分娩時逆子の体勢で、体型も大きかったため、分娩介助ありで産まれてきました。
逆子のため、両後肢を引っ張る形での牽引です。
無事産まれてくれたものの、3日様子をみても自力で立てないということで農家さんからご報告を受け、診察をしました。
立ち上がろうとする意欲はあり、腰を持ち上げるけれども支えないと立てない。
立った後は親のミルクを飲む元気はあるけれど、歩こうとはしない。
といった状態でした。
よく見ると腰に左右のズレがあり、ゆっくり動かすと右側の腰に動く骨が触れました。
触った骨は大腿の先端の丸い箇所、大腿骨頭です。
本来は股関節に深くはまっているはずが、分娩介助時の牽引で外れてしまったのだと思われます。
股関節脱臼は、とにかく元の位置に戻し、安定させることが治療方針です。
正しい位置で1ヶ月ほど安定できると、周りに結合組織がつくられて固まってくれます。
脱臼を元の位置に戻せなかったら、その後うまく体重を支えられず、肥育牛に育っていくことは難しくなってしまいます。
キシラジンで鎮静をかけ、脱臼している脚とお腹にヒモをかけ、引っ張ってもらいながらグイグイと大腿骨頭を押しました。
関節より上に大腿骨頭がズレていたため、下にむかって押し、格闘すること30分以上?
カコン!と音が鳴って元の位置にハマってくれました。
股関節脱臼は、発症から日にちが経つほど結合組織が邪魔をして整復しにくくなります。
生後4日目の処置ということもあり、戻るかどうかドキドキでしたが、あきらめなくて良かったと思った症例です。
現在はテーピングで固定しながら、再脱臼したら戻して固まるのを待っています。
親付けでしたが、動き回って再脱臼しないようにハッチ飼いにもしていただきました。
うまくいってくれ~
↑脱臼整復後、とにかくグルグル巻きに固定した脚
(エーマースリング包帯法を参考に、農家さんのアイディアでラチェットベルトも)
今週の動画
胎膜スリップのイメージを掴みたい
前の記事 除角ペーストでも角化膿 | 次の記事 第37回とちぎの和牛を考える会 |