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加地永理奈のコラム
除角ペーストでも角化膿

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2024年11月20日

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牛と人の安全のため、牛の角は除角される場合があります。
角が伸びてきたところを除角器でカットして、焼きごて等で止血をする方法がありますが、その時気を付ける必要があるのが「化膿」です。

過去コラムでも紹介されているように、焼きごての処置が不十分なとき、止血が不十分なときに、栄養豊富な血液等と一緒に細菌が増殖し、化膿を作ってしまうのです。

しかし除角の方法はこれだけでなく、「除角ペースト」を使った出血のない方法もあります。
生後1ヶ月齢以内のまだ角が伸びていない時期に、「除角ペースト」と呼ばれるアルカリ性の軟膏を角の生えてくる場所に塗ります。
そうすることで、角の素となる細胞が化学的に焼かれ、角が生えてこなくなるという仕組みです。

出血を伴わない除角方法であるため、化膿のリスクはないものだと思い込んでいたのですが、除角ペーストだったにも関わらず化膿していたケースが直近で2頭ありました。

近づいてくる子牛から膿の匂いがして気が付いたとのこと。
かさぶたを取ると膿が出てきました。

ただ除角ペースト後の化膿の場合は、過去コラムのような頭の中につながる空洞はなく、骨より上の組織のみという違いはありました。
頭蓋骨の中につながっている心配もないため、膿を出した後は勢いよく洗浄し、抗生物質も投与することで治癒することができました。

原因としては、除角ペーストを塗られた後、子牛が頭を壁に強くこすりつけてしまったことで、本来ないはずの出血が起こり、化膿につながってしまったのではないかと考えています。
もしくは、ペーストを塗る量が多く過度に炎症がおこったり、剃毛が不十分で毛と一緒に細菌が付いてしまったり、という原因もあるかもしれません。

今回の症例で、除角ペーストでも化膿のリスクがあることがわかりました。
作業は清潔に行い、除角ペースト塗布後は子牛が頭をこすりつけていないか、塗った後がジュクジュクと湿潤していないか、乾いたかさぶたが作れたか、確認するようにしましょう。

 
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